この記事の要点
- 子の看護等休暇と介護休暇は別々の制度です。それぞれ取得できます
- どちらも時間単位で取得できます
- 残業免除は、育児と介護のどちらの理由でも請求できます
- 2025年4月から、子の看護等休暇は小学校3年生修了までに拡大されました
- 2025年10月から、柔軟な働き方の措置が義務化されました
- 窓口が別々なので、自分で両方に伝える必要があります
子どもの保育園から呼び出しがある。同じ週に、親の通院の付き添いがある。
どちらも待ってくれません。 そして両方をこなすうちに、有給が消えていきます。
育児と介護が同時に来る状態をダブルケアといいます。
調べてみると、制度は用意されているのに、それを組み合わせて教えてくれる場所がありませんでした。 手順を6つに分けて書きます。
どれくらいの人がいるのか
内閣府が2016年に公表した調査があります。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 推計人口(2012年時点) | 約25万3千人 |
| うち女性 | 約16万8千人 |
| うち男性 | 約8万5千人 |
| 年齢層 | 30〜40代が約8割(40〜44歳が27.1%で最多) |
2012年時点の推計では、女性約16万8千人、男性約8万5千人で、女性が男性の約2倍でした。
ただし、これは2012年時点の推計であり、現在のダブルケア人口を示す数字ではありません。
この数字は、実態より少ない可能性があります
この調査は2012年のデータをもとにしたもので、育児の対象を「未就学児」に限定しています。
小学生の子を含めれば、人数はさらに多くなると考えられます。
そして2025年4月の法改正で、子の看護等休暇の対象が小学校3年生修了までに拡大されました。 制度が想定する「育児期」の範囲自体が広がっています。
手順① 休暇を「別枠」で数える
ここが、この記事でいちばん重要な部分です。
育児と介護の休暇は、別の制度です。だから、両方を取得できます。
| 制度 | 日数 | 単位 |
|---|---|---|
| 子の看護等休暇 | 子1人で年5日 子2人以上で年10日 | 1日/時間単位 |
| 介護休暇 | 対象家族1人で年5日 2人以上で年10日 | 1日/時間単位 |
| 時間単位年休 | 年5日分が限度 ※労使協定を締結している会社のみ | 時間単位 |
| 年次有給休暇 | 勤続年数による | 1日/半日 |
厚生労働省は、子の看護等休暇と介護休暇は、年次有給休暇とは別に取得させなければならないとしています。
そして子の看護等休暇と介護休暇も、それぞれ別の制度です。
なお時間単位年休は、労使協定を締結している会社で利用できます。 労働基準法にもとづく制度で、取得できる時間数は年5日分が限度です。
子の看護等休暇・介護休暇の時間単位取得とは、根拠となる法律が異なる別の制度です。
別々の制度なので、それぞれ取得できます
子の看護等休暇と介護休暇は別々の制度です。両方の取得要件を満たしていれば、それぞれ取得できます。
子ども1人・対象家族1人の場合は、子の看護等休暇5日+介護休暇5日で、合計10日です。
子が2人以上、対象家族が2人以上なら、それぞれの上限が10日になります。ただし、上限に達するかは要件を満たしているかによります。
いずれも年次有給休暇とは別枠です。
ただし注意点があります
- 有給か無給かは会社の規定による(無給としている会社が多い)
- 労使協定により、時間単位取得の対象外となる場合がある
- 週の所定労働日数が2日以下の方は、労使協定で除外できる
まず就業規則を確認してください。 有給か無給かで、使い方の設計が変わります。
介護側の休暇の使い分けは、介護で休むときの使い分けにまとめました。
手順② 2025年4月の改正内容を確認する
子の看護等休暇は、2025年4月に大きく変わりました。
| 改正前 | 改正後(2025年4月〜) | |
|---|---|---|
| 名称 | 子の看護休暇 | 子の看護等休暇 |
| 対象の子 | 小学校就学前 | 小学校3年生修了まで |
| 取得事由 | 病気・けが、予防接種、健康診断 | 上記+感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式・卒園式 |
| 除外規定 | 継続雇用6ヶ月未満は除外できた | 撤廃 |
「小学校第3学年修了まで」とは、原則として小学校第3学年の学年末である3月31日までを指します。
以前は小学校に入ると使えなくなっていました。いまは低学年まで使えます。
学級閉鎖でも使えます
子ども自身が感染していなくても、学級閉鎖になれば取得できます。
インフルエンザや感染症で学校が休みになったとき、有給を使わずに済みます。
入園式・卒園式・入学式も対象です。ただし運動会や授業参観など、それ以外の学校行事は対象外とされています。
手順③ 残業免除は両方の理由で請求できる
休暇だけでは足りない場合、働き方を変える制度があります。
所定外労働の制限(残業免除)は、育児と介護の両方に用意されています。
| 育児を理由とする場合 | 介護を理由とする場合 | |
|---|---|---|
| 対象 | 小学校就学前の子 (2025年4月に3歳未満から拡大) | 要介護状態の対象家族 |
| 期間 | 子が小学校に入るまで | 介護が終わるまで(制限なし) |
| 会社の対応 | 事業の正常な運営を妨げる場合を除き、拒否できない | |
| 基本給 | 減りません(減るのは残業代のみ) | |
2025年4月の改正で、育児側の対象が「3歳未満」から「小学校就学前」に拡大されました。 深夜業の制限も同様です。
ダブルケアの場合、どちらの理由でも請求できます。 子どもが小学校に入って育児側の対象から外れても、介護側の制度が使えます。
介護側の制度は介護と仕事を辞めずに続けるにまとめました。介護の所定外労働の制限は、期間の制限がないのが特徴です。
手順④ 柔軟な働き方の制度を確認する
2025年の改正では、働き方そのものを変える制度も加わりました。 4月と10月で内容が違います。
2025年4月|テレワークの努力義務
3歳未満の子を養育する労働者、および介護を行う労働者について、事業主がテレワーク等を選択できるように措置を講じることが努力義務となりました。
ただし、テレワークを必ず利用できるという意味ではありません。 努力義務なので、会社に整備の義務はありません。
それでも、制度として位置づけられたことで、相談の根拠にはなります。
2025年10月|柔軟な働き方を実現するための措置
こちらは義務です。
3歳以上から小学校就学前の子を養育する労働者について、事業主は次の5つの選択肢から2つ以上を措置しなければなりません。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 始業時刻等の変更 | フレックスタイム制、時差出勤 |
| テレワーク等 | 月10日以上。原則として時間単位で利用可能 |
| 保育施設の設置運営等 | ベビーシッターの手配や費用負担を含む |
| 養育両立支援休暇 | 年10日以上。時間単位で取得可能 |
| 短時間勤務制度 | 原則1日6時間を含む措置 |
労働者は、会社が用意した措置の中から1つを選んで利用できます。
養育両立支援休暇も、別枠の休暇です
会社がこれを選択している場合、年10日以上の休暇が、子の看護等休暇とは別に使えます。
時間単位での取得も可能です。ただし、会社が5つのうちどれを選んでいるかによります。
まず、自社が何を措置しているかを確認してください。
「2025年10月から義務化された柔軟な働き方の措置について、うちの会社では何が使えますか?」
あわせて、子が3歳に近づいた労働者に対して、利用できる選択肢を個別に説明し、意向を確認することも義務になりました。
在宅勤務ができれば、通院の付き添いと仕事の間を移動時間なしでつなげます。 ダブルケアではこれが大きい。
手順⑤ 両方の窓口に伝える
ここは制度の話ではなく、運用の話です。
育児と介護では、相談する窓口が違います。
| 窓口 | |
|---|---|
| 育児 | 市区町村の子育て支援担当課、保育所、子育て世代包括支援センター |
| 介護 | 地域包括支援センター、ケアマネジャー |
近年は連携を進めている自治体もありますが、それぞれの窓口が、もう一方の状況を把握しているとは限りません。
だから、両方に「ダブルケアである」と伝えてください。
「実は、親の介護も同時にしています。両方を抱えている前提で相談できますか?」
ケアマネジャーには、育児の状況も伝える
ケアプランを作るアセスメントの項目には「家族等の状況」が含まれています。伝えるのは制度上の前提です。
「小学生の子が2人いて、平日の夕方は動けません」と伝えれば、その前提でプランを組んでもらえます。
詳しくはケアマネジャーとの初回面談をご覧ください。
自治体のダブルケア支援を探す
ダブルケアを明示した相談窓口や支援制度を設けている自治体があります。
- ダブルケア相談窓口があるか
- 保育所の利用調整で、介護が考慮されるか
- 一時保育やファミリーサポートの利用条件
- 介護と育児の両方を見てくれる相談員がいるか
内容は自治体によってまったく違います。 まず市区町村に問い合わせてください。
「育児と介護が同時にあります。ダブルケアに関する相談窓口や支援制度はありますか?」
手順⑥ 外部サービスを使える部分を洗い出す
最後に、組み立て方の話です。
育児と介護のどちらを優先するかではなく、外部に任せられる部分を一つずつ洗い出します。
介護では、次のようなサービスを利用できる場合があります。
| 手段 | 効くところ |
|---|---|
| デイサービス | 日中の時間が空く。回数を増やせる |
| 訪問介護 | 通院の付き添い、買い物代行 |
| ショートステイ | 学校行事や子どもの入院などに合わせて使える |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 夜間の対応。24時間の通報体制 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・泊まりを月額定額で。予定が読めないときに向く |
| 配食サービス | 調理の負担が減る |
小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・泊まりを組み合わせられるため、予定変更が多い家庭では選択肢になります。
子どもの都合で予定が変わったときに、必要に応じて宿泊サービスを組み合わせるといった使い方が考えられます。
ただし、利用できるサービス内容や回数、宿泊の可否などは、要介護度や事業所の体制、ケアプランなどによって異なります。
育児側にも使える支援があります
育児側でも、一時保育やファミリー・サポート・センターなど、利用できる支援がないか確認してください。
内容と利用条件は市区町村によって異なります。窓口は子育て支援担当課です。
ケアマネジャーに聞いてみてください
「これ以上サービスを増やすのは申し訳ない」と感じる方がいます。
必要なサービスがある場合は、ケアマネジャーに相談してみてください。
「現在の限度額の範囲で、どこまでサービスを組み合わせられますか?」
この形で聞くと、利用できる選択肢を整理してもらえます。
子どもへの影響も考える
この記事は制度の話が中心ですが、1つ触れておきます。
ダブルケアでは、子どもが介護を手伝う形になることがあります。
祖父母の見守りをする。話し相手になる。家族の一員として自然にそうなります。
ただ、それが子どもの生活や学業に支障が出る程度になると、ヤングケアラーの問題として扱われます。
- 子どもが学校を休むようになっていないか
- 友人との時間や部活動を諦めていないか
- 年齢に合わない役割を担っていないか
- 家族の状況を、人に話せない状態になっていないか
気になる場合、学校のスクールソーシャルワーカーや市区町村の相談窓口に相談できます。
まとめ|別枠で数え直す
整理します。
休暇を別枠で数える
子の看護等休暇+介護休暇=年10日以上。有給とも別枠です。
2025年4月の改正を確認する
子の看護等休暇は小学校3年生修了まで。学級閉鎖でも使えます。
残業免除を請求する
育児と介護のどちらの理由でも可。基本給は減りません。
柔軟な働き方の制度を確認する
2025年10月から、5つのうち2つ以上が義務化されました。自社の措置を確認。
両方の窓口に伝える
「ダブルケアである」と自分から言う。窓口は別々です。
外部サービスを使える部分を洗い出す
介護側・育児側の両方で確認する。ケアマネジャーに相談する。
ダブルケアで消耗するのは、予定が読めないことと、休みが足りないことだと思います。
制度は、そのどちらにも手当てがあります。ただ、育児側と介護側で別々に用意されているので、自分で組み合わせる必要があります。
まず就業規則を開いて、子の看護等休暇と介護休暇が、それぞれ何日あるかを確認してください。 そこから設計できます。
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出典・参考
- 内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」(2016年4月公表/推計約25万3千人、女性約16万8千人・男性約8万5千人。育児の対象は未就学児)
- 育児・介護休業法 第16条の2(子の看護等休暇)/第16条の5(介護休暇)/第16条の8(所定外労働の制限)/第19条(介護のための所定外労働の制限)
- 厚生労働省「育児・介護休業法 令和7年(2025年)改正のポイント」(子の看護等休暇の対象を小学校第3学年修了まで拡大、取得事由に感染症に伴う学級閉鎖等・入園式等を追加、所定外労働の制限と深夜業の制限の対象を小学校就学の始期に達するまでに拡大、育児・介護を行う労働者へのテレワーク導入の努力義務化)
- 厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります」(2021年1月1日〜)
- 育児・介護休業法 第23条の3(柔軟な働き方を実現するための措置等/2025年10月1日施行。3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者について、①始業時刻等の変更 ②テレワーク等(月10日以上)③保育施設の設置運営等 ④養育両立支援休暇(年10日以上)⑤短時間勤務制度 の5つから2つ以上を措置する義務)
- 労働基準法 第39条第4項(時間単位年休。労使協定により年5日以内)
この記事の情報は2026年9月時点のものです。休暇の有給・無給の扱い、時間単位取得の可否、会社が選択している「柔軟な働き方を実現するための措置」の内容は、会社によって異なります。自治体のダブルケア支援や保育所の利用調整の基準も市区町村によって異なります。実際の取得については勤務先の就業規則または人事・総務、支援制度についてはお住まいの市区町村にご確認ください。

