親の通院に付き添えないとき|付き添いは3つに分けて考える

この記事の要点

  • 通院の付き添いは「移動」「病院の中」「医師とのやりとり」の3つに分けて考えます
  • 要介護1〜5の方は、心身の状態やケアプランなどの条件を満たせば、訪問介護の通院等乗降介助を利用できる場合があります
  • 病院の中の介助は、基本的には医療機関のスタッフによる対応が想定されています。条件によって介護保険の対象となる場合もあります
  • 単なる待ち時間や診察時間そのものは、介護報酬の算定対象になりません
  • 家族が担うのは「医師とのやりとり」だけにできる場合があります

親の通院に付き添うたびに、半日から1日の休みが消えていく。

月に1回ならまだしも、診療科が複数あると毎週のように病院へ行くことになります。このままでは有給が足りない。

付き添いを誰かに頼めないか調べてみると、介護保険で頼める部分と、頼めない部分がはっきり分かれていました。よくある疑問に答える形で整理します。

目次

付き添いは3つに分けて考える

「通院の付き添い」と一言でいっても、中身は3つに分かれます。

付き添いの中身具体的には主な担い手
① 移動家を出る準備、車の乗り降り、病院までの移動訪問介護(通院等乗降介助など)、福祉輸送など
② 病院の中受付、院内の移動、トイレ、待ち時間基本的には医療機関のスタッフ(対応範囲は病院によって異なる)
③ 医師とのやりとり症状を伝える、説明を聞く、治療方針を相談する本人と家族

家族が毎回すべてを担う必要はありません。 ①と②を別の手段に任せ、③だけに関わる形にできる場合があります。

移動はヘルパーに頼めるか

要介護1〜5の方は、心身の状態やケアプランなどの条件を満たせば、訪問介護の「通院等乗降介助」などを利用できる場合があります。 利用できるかは、本人の状態や必要性、ケアプラン、事業所の提供体制などによります。

項目内容
対象要介護1〜5
条件ケアマネジャーがケアプランに位置づけていること
頼めること外出前後の移動介助、車の乗り降りの介助、通院先での受診手続きや移動介助など
費用介護サービスの自己負担(1〜3割)+車両による移送の運賃

運賃は介護保険のサービス費とは別です

いわゆる「介護タクシー」などを使う場合、車両による移送の運賃は、介護保険のサービス費とは別に自己負担となります。

料金は事業者によって違うので、事前に見積もりを確認してください。

要支援の場合

要支援1・2の方は、介護保険の訪問介護にある「通院等乗降介助」の対象ではありません。 ただし、市区町村の総合事業などで外出支援を利用できる場合があります。

外出支援の有無や内容は、市区町村によって大きく違います。 地域包括支援センターで確認してください。

病院の中は誰が見てくれるか

ここが、いちばん誤解されやすい点です。

院内の介助は、基本的には医療機関のスタッフによる対応が想定されています。 ただし、実際の対応範囲は病院によって異なります。

そのため、訪問介護で病院まで送ってもらっても、病院の中まですべて付き添ってもらえるとは限りません。

介護保険の対象となる場合もある

医療機関のスタッフだけでは対応できない事情があり、適切なケアマネジメントのもとで必要性が認められる場合には、院内の介助が介護保険の対象となることがあります。

たとえば、院内での移動や排せつの介助などについて、医療機関のスタッフだけでは対応が難しく、利用者の状態から介助の必要性が認められる場合などです。

具体的な算定の可否は、ケアマネジャーや市区町村、サービス事業所に確認してください。

単なる待ち時間と診察時間は算定対象外です

単なる待ち時間や診察時間そのものは、介護報酬の算定対象となりません。 点滴やリハビリなど、医療保険の対象となる時間も同様です。

ただし、待ち時間中に利用者への必要な介助を行っている場合などは、具体的な状況によって扱いが異なるため、ケアマネジャーに確認してください。

待ち時間が長い病院では、その間の付き添いを誰が担うかを事前に考えておく必要があります。

病院にも相談できます

多くの病院には、医療ソーシャルワーカーなどがいる相談窓口があります。

「家族が付き添えない日があります。院内で手伝っていただけることはありますか?」

病院によっては、院内の案内や車いすの貸し出しなどに対応している場合があります。 事前に病院へ確認してみてください。

医師の説明を聞けないのが不安なとき

家族がいちばん気になるのは、「医師が何を言ったか分からない」ことだと思います。

付き添えない日でも、情報を受け取る方法があります。

  • 受診の前に、聞きたいことをメモにして本人に持たせる
  • 最近の様子(食事、睡眠、転倒の有無など)を紙にまとめて渡す
  • お薬手帳を必ず持っていく
  • 通院に同行した介護職員から、介助中の様子について情報共有してもらえるか、ケアマネジャーや事業所に確認する(医師の説明内容とは別です)
  • 後日、家族が電話で説明を聞けるかを、病院に確認しておく

「今日は家族が付き添えません。説明の内容を、後日電話で伺うことはできますか?」

本人の同意や病院の方針、個人情報の取扱いによって、対応は異なります。 電話での説明に対応してもらえる場合もあるので、事前に医療機関へ確認し、本人とも話しておいてください。

大事な受診だけは家族が行く

検査結果の説明、治療方針の相談、手術や入院の話。こうした受診だけは、家族が付き添う日にするという分け方があります。

いつもの薬をもらうだけの受診は、ほかの手段に任せる。すべてを同じ重さで考えないことが、続けるための工夫です。

通院そのものを減らせるか

付き添いの負担は、通院の回数が減れば、そのぶん減ります。 次のような方法を主治医に相談できる場合があります。

方法内容
訪問診療通院が困難な患者などを対象に、医師が計画的・定期的に自宅を訪問して診療する。利用できるかは病状や医師の判断による
オンライン診療画面越しに診察を受ける。適しているかは、病状や診療内容を踏まえて医師が判断
受診先をまとめる複数の病院に通っている場合、かかりつけ医を中心に整理できないか、治療上問題がないかを含めて医師に相談する
薬の配達薬局によっては配達に対応している
居宅療養管理指導(薬剤師)医師の指示などにもとづき、薬剤師が自宅を訪問して服薬管理などを行う。利用できる場合がある

処方の日数や受診の間隔は、医師が病状をみて判断するものです。家族の都合だけで変えられるわけではありませんが、相談する価値はあります。

「仕事の都合で、付き添いが難しくなってきました。通院の負担を減らす方法はありますか?」

訪問看護で自宅での健康管理を補う方法もあります。詳しくは訪問看護とはにまとめました。

自分が付き添うときに使える制度

家族が付き添う日は、有給休暇以外の制度も使えます。

制度内容
介護休暇対象家族1人につき年5日(2人以上で10日)。時間単位で取得できる(労使協定で対象外となる場合あり)
時間単位年休会社が制度を設けている場合に利用できる
フレックスタイム、時差出勤会社の制度による

介護休暇は、年次有給休暇とは別に取得できます。 時間単位で取得できる職場であれば、短時間の通院付き添いに介護休暇を使い、年次有給休暇を温存する方法もあります。

使い分けは介護で休むときの使い分けにまとめました。有給か無給かは会社の規定によるので、就業規則を確認してください。

介護保険で足りないときは

介護保険の範囲では足りない場合、保険外の付き添いサービスを提供している事業者もあります。

  • 事業者によっては、待ち時間や院内の付き添いに対応している場合がある
  • 費用は全額自己負担。料金体系は事業者によって大きく違う
  • 市区町村の社会福祉協議会や、地域の有償ボランティアが外出支援を行っていることもある。料金・対象者・利用条件は地域によって異なる

まずケアマネジャーか地域包括支援センターに、地域で使える手段を聞いてください。 介護保険と保険外の手段を組み合わせる方法を一緒に考えてもらえます。

まとめ|付き添いを分けて任せる

  • 付き添いは移動・病院の中・医師とのやりとりの3つに分けて考える
  • 要介護1〜5で、状態や必要性、ケアプランなどの条件を満たせば、通院等乗降介助を利用できる場合がある。運賃は別に自己負担
  • 病院の中は基本的に医療機関のスタッフ。必要性が認められれば介護保険の対象となる場合も。単なる待ち時間・診察時間は算定対象外
  • 医師とのやりとりは、メモや後日の電話で補える場合がある
  • 大事な受診だけ家族が行くという分け方もある
  • 家族が行く日は介護休暇の時間単位取得も選択肢

通院の付き添いは、「全部自分が行く」か「誰にも頼めない」かの二択ではありません。

まず、次の通院についてどの部分を誰に任せられるかをケアマネジャーに相談してみてください。

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出典・参考

  • 厚生労働省「訪問介護における院内介助の取扱いについて」(介護保険最新情報Vol.149/平成22年4月28日)
  • 総務省「介護保険制度における通院等乗降介助の適用範囲の拡大(概要)」(利用できる者は要介護1〜5、移送に係る運賃は介護給付の対象外)
  • 和歌山市「ケアマネジメント支援マニュアル~訪問介護における院内介助について~」(院内の移動等の介助は基本的に院内のスタッフにより対応されるべきであること、待ち時間・診察時間や医療保険対象の時間は算定できないこと)
  • 名古屋市「訪問介護における『通院・外出介助』について」(通院・外出介助に係るQ&A、目的地を複数有する場合の解釈)
  • 育児・介護休業法(介護休暇の時間単位取得)

この記事の情報は2026年9月時点のものです。通院介助・院内介助の扱い、総合事業の内容は、市区町村の判断やケアプランによって異なります。病院での対応や説明の受け方は医療機関によって異なります。実際の利用については、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、受診先の医療機関にご確認ください。

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