この記事の要点
- ケアマネジャーが聞くことは、厚生労働省の通知で23項目と決まっています
- つまり、聞かれることが分かっているので、先に用意できます
- 項目には「家族等の状況」も含まれます。 あなたの就労状況を伝えるのは、制度上の前提です
- アセスメントは面接で行うことが基準で定められています。 電話だけでは済みません
- すべてに答える必要はありません。分からないことは「分からない」で構いません
要介護認定が下りて、ケアマネジャーが自宅に来ることになった。初回の面談です。
何を聞かれるのか分からないまま当日を迎えると、その場で思い出そうとして時間が過ぎます。薬の名前が出てこない。いつから困っているのか答えられない。 そして、いちばん伝えたかったことを言い忘れる。
調べてみると、ケアマネジャーが聞くことは国が決めていました。 それなら、先に用意できます。
チェックリストの形で書きます。印刷するか、スクリーンショットを撮って当日お使いください。
聞かれることは23項目と決まっている
ケアマネジャーが行う聞き取りをアセスメント(課題分析)といいます。ここで集めた情報をもとに、ケアプランが作られます。
何を聞き取るかは、厚生労働省の通知「課題分析標準項目」で定められています。全部で23項目あり、事業所がどんな様式を使っていても、この23項目は必ず満たすことになっています。
2023年10月に改正されたばかりの、比較的新しい基準です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 基本情報(9項目) | 本人の基本情報、これまでの生活と現在の状況、社会保障制度の利用情報、現在利用している支援、日常生活自立度、主訴・意向、認定情報など |
| 課題分析(14項目) | 健康状態、ADL、IADL、認知機能、コミュニケーション、生活リズム、排泄、清潔の保持、口腔内、食事摂取、社会との関わり、家族等の状況、居住環境など |
すべてに答える必要はありません
厚生労働省は、改正時のQ&Aで「これらの内容についてすべての情報収集を行うことを求めるものではない」と明記しています。
分からないことは「分かりません」で構いません。あとから調べて伝えることもできます。
そして、もう1つ知っておいてください。アセスメントは、利用者の居宅を訪問し、面接して行わなければならないと運営基準で定められています。電話やメールだけで済ませることはできません。
用意しておく書類
面談当日、机の上に出しておくものです。
- 介護保険被保険者証(要介護度と有効期間が書かれています)
- 介護保険負担割合証(1割・2割・3割の別)
- 健康保険証
- お薬手帳(または処方箋の控え)
- 身体障害者手帳、療育手帳など(あれば)
- 年金証書、預金通帳(費用の相談をする場合)
- 入院していた場合は退院時の書類、看護サマリー
お薬手帳は特に重要です。 薬の名前と量が分かると、健康状態の把握が正確になります。複数の病院にかかっている場合、手帳が分かれていないか確認してください。
本人について整理しておくこと
紙にメモしておくと、当日あわてません。
健康について
- かかりつけ医の名前、病院名、連絡先
- 持病と、いつからか
- 直近の入院歴(時期、病名)
- アレルギー
- 医師から言われている注意点(塩分制限、転倒に注意など)
できること・できないこと
ここは「できない」だけでなく、「時間がかかる」「見守れば大丈夫」も伝えてください。 支援の量が変わります。
- 歩行(杖の有無、屋外はどうか、転んだことがあるか)
- 入浴(またげるか、洗えるか、見守りが要るか)
- トイレ(間に合うか、失敗があるか、夜間はどうか)
- 食事(自分で食べられるか、むせるか、量は減っていないか)
- 着替え(ボタン、靴下)
- 調理、洗濯、掃除、買い物
- 薬の管理、お金の管理
認知や意欲について
- もの忘れの具体例(「いつ、何があったか」を日付つきで)
- 日付や場所が分からなくなることがあるか
- 以前は好きだったのに、やらなくなったこと
- 怒りっぽくなった、不安を訴えるなどの変化
「もの忘れがあります」より「先週の法事のことを覚えていませんでした」のほうが伝わります。 認知症の受診については認知症の初期サイン|受診までの5つの手順にまとめました。
1日の過ごし方
- 起きる時間、寝る時間
- 日中に何をしているか
- 夜眠れているか、夜中に起きるか
- 外出の頻度、人と会う機会
2023年の改正で「生活リズム」が独立した項目になりました。夜間の状況は、家族の負担にも直結します。
家族について伝えること
ここがいちばん大事です。 そして、遠慮して伝えない方が多い部分でもあります。
23項目のうち「家族等の状況」という項目があります。つまり、介護する側の状況を把握することは、制度上の前提です。 遠慮する必要はありません。
- 誰が、どこに住んでいて、どれくらいの頻度で関われるか
- 仕事の状況(勤務時間、休日、通勤時間)
- 自分の健康状態、持病
- 他に介護や育児をしている家族がいるか
- いま何がいちばんつらいか
就労状況は、具体的に伝えてください
「平日は9時から19時まで不在」と伝えるかどうかで、使えるサービスが変わることがあります。
同居家族がいる場合、訪問介護の生活援助は原則として使えません。ただし「就業により日中不在」は例外に該当しうる状況とされています。
この情報はケアプランに記録される必要があるので、勤務時間と休日を具体的に伝えるほど、話が進みます。 詳しくは訪問介護でできること・できないことに書きました。
住まいについて
「居住環境」も項目に入っています。可能なら、実際に見てもらってください。
- 段差のある場所(玄関、廊下、浴室)
- 手すりがない場所
- 階段の有無、寝室が2階かどうか
- トイレと寝室の距離
- 浴室の広さ、浴槽の深さ
- 持ち家か賃貸か
手すりの設置や段差の解消は、介護保険で20万円まで使えます。 ただし着工前の申請が必須です。住宅改修20万円の使い方をご覧ください。
こちらから聞くこと
面談は一方的な聞き取りではありません。こちらからも聞いてください。
- 「連絡はどの方法が確実ですか。何時までなら大丈夫ですか」
- 「私の勤務時間だと、日中は電話に出られません。どう連絡を取りましょうか」
- 「うちの状況だと、どんなサービスが使えそうですか」
- 「限度額のうち、どれくらいを使うことになりますか」
- 「サービスが始まるまで、どれくらいかかりますか」
- 「担当していらっしゃる方は何人くらいですか」
最後の質問は、どれくらい丁寧に見てもらえるかの目安になります。居宅介護支援では、ケアマネジャー1人あたりの担当件数に上限が定められています。
限度額については、要介護度で使えるサービスで7段階すべて整理しました。
伝えにくいことをどう伝えるか
本人の前では言いにくいことがあります。失禁がある、暴言がある、金銭管理が心配。
方法が3つあります。
事前にメモを渡す
面談の前に、封筒に入れて渡す。「本人の前では話しにくいので」と一言添えれば通じます。
別室で話す時間をもらう
「少しだけ、別に相談したいことがあります」と伝えれば、時間を作ってもらえます。
面談後に電話する
その場では言えなくても、後日伝えられます。ケアプランは何度でも見直せます。
ケアマネジャーは、こうした相談に慣れています。 言いにくいことを聞くのも仕事のうちです。
面談のあとの流れ
初回面談で全部が決まるわけではありません。
アセスメント(初回面談)
1〜2時間かかることが多いです。
ケアプランの原案が作られる
数日から1週間程度。
サービス担当者会議
事業所の担当者と家族が集まって内容を確認します。できるだけ参加してください。
ケアプランの確定・交付
同意して署名すると、サービスが始まります。
認定から利用開始まで、2週間程度かかるのが一般的です。 急いでいる場合は、その旨を最初に伝えてください。
合わないと感じたら
最後に書いておきます。ケアマネジャーは変更できます。
初回面談で「話を聞いてもらえない」「こちらの事情を考慮してくれない」と感じることがあります。相性の問題は、我慢しても解決しません。
ただし、まず理由を確認してください。 制度上できないことを求めていた、という場合もあります。変更の方法はケアマネジャーは変えられますにまとめました。
まとめ|3つだけ持っていく
準備が間に合わなくても、これだけあれば面談は進みます。
- お薬手帳
- 介護保険被保険者証と負担割合証
- 自分の勤務時間と休日を書いたメモ
3つ目を挙げたのは、いちばん伝え忘れられる情報だからです。 介護する側の状況は、23項目に含まれています。伝えるべきことです。
そして、完璧に答える必要はありません。分からないことは、これから一緒に確認していけばいい。 それがケアマネジャーの役割です。
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出典・参考
- 厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日 老企第29号/令和5年10月16日改正・介護保険最新情報Vol.1178)
- 厚生労働省「課題分析標準項目の改正に関するQ&A」(介護保険最新情報Vol.1179/「すべての情報収集を行うことを求めるものではない」)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号/アセスメントは利用者の居宅を訪問し面接して行う)
この記事の情報は2026年8月時点のものです。使用されるアセスメントシートの様式は事業所によって異なり、聞き取りの順序や表現も担当者により変わります。実際の手続きは、担当のケアマネジャーまたは市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

