定期巡回・随時対応型訪問介護看護|1日に何回来てもらっても定額

この記事の要点

  • 1日に何回来てもらっても、月額は変わりません
  • 訪問介護と違い、5分だけの訪問が成立します。薬を飲ませるだけ、でも構いません
  • 24時間対応する唯一の在宅介護サービスです。夜中でも通報できます
  • 要介護3で月16,140円(1割負担)。1日3回以上使うなら、訪問介護より安くなります
  • ただし事業所がない市区町村も多い。まず確認してください

在宅で介護をしていると、こういう時間が積み重なります。

朝の起床介助。昼の服薬確認。夕方の食事。夜中のトイレ。1回あたりは5分や10分でも、その時間に必ずいなければならない。

訪問介護を頼もうにも、「5分だけ来てほしい」は組みにくい。結局、家族が全部やることになります。

この状況のためにできたのが定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。2012年にできた比較的新しいサービスで、短時間の訪問を、何回でも定額で使えます。

手順を5つに分けて書きます。

目次

4つの機能でできている

名前が長いのは、4つの機能をまとめているからです。

機能内容
定期巡回1日複数回、決めた時間に訪問。1回5〜20分程度
随時対応専用の通報端末で、24時間いつでもオペレーターに連絡できる
随時訪問通報を受けて、必要と判断されればヘルパーが駆けつける
訪問看護必要な方のみ。看護師による医療的なケア

ケアコール端末という通報機器が配られます。ボタンを押すとオペレーターにつながります。オペレーターは看護師や介護福祉士などの専門職です。

訪問介護との決定的な違い

ここが分かると、使いどころが見えてきます。

訪問介護定期巡回
課金1回ごと(20分未満、30分未満…)月額定額
回数使うほど費用が増える制限なし
1回の時間20分未満が最短5分程度から可能
夜間・深夜加算がつく定額に含まれる
緊急時その都度の調整24時間の通報体制

「5分だけの訪問」が成立するのが、最大の違いです。

具体的には、こういう使い方ができます。

  • 朝7時、起床の声かけと薬の確認(5分)
  • 朝8時、デイサービスに行く準備の手伝い(10分)
  • 昼12時、昼食の準備と見守り(20分)
  • 夕方18時、夕食と服薬(20分)
  • 夜21時、寝る前のトイレ介助(10分)
  • 深夜2時、通報があれば駆けつけ

これで月額は変わりません。 通常の訪問介護なら、回数分の費用がかかります。

訪問介護でできること・できないことは、こちらの記事にまとめました。同居家族がいると生活援助が使えないという制約もあります。

手順① 市区町村に事業所があるか確認する

最初にこれを確認してください。 ここで止まる可能性があります。

このサービスは地域密着型サービスです。指定するのは市区町村で、原則としてその市区町村に住民票がある人しか利用できません。

そして、厚生労働省の資料にこう書かれています。

サービスに対する認知度や理解度が不十分なことにより、事業所が存在しない市町村も多くある

2026年5月の分科会資料です。 国自身が課題として挙げています。

隣の市区町村の事業所を使える場合があります

同じ資料に、「広域利用に関する事前同意等の調整を行うなど隣接自治体間の連携による活用推進」とあります。

市内に事業所がなくても、諦める前に聞いてみてください。

「市内に定期巡回の事業所がないのですが、隣の市の事業所を使うことはできますか?」

窓口は地域包括支援センターか、市区町村の介護保険担当課です。担当のケアマネジャーも把握しています。

要支援は使えません

対象は要介護1〜5です。要支援1・2の方は利用できません。

ここは小規模多機能型居宅介護と違う点です。あちらは要支援でも使えます。

手順② 一体型か連携型かを確認する

事業所には2つの型があります。訪問看護をどう提供するかの違いです。

一体型連携型
訪問看護同じ事業所が提供連携する訪問看護ステーションが提供
費用訪問看護分を含む定額基本料金+訪問看護の費用が別途
連絡1か所で完結2か所とやりとり

医療的なケアが必要なら、一体型のほうが調整が楽です。 介護と看護が同じ事業所なので、情報が共有されます。

ただし、すでに信頼している訪問看護ステーションがある場合は、連携型のほうが続けやすいこともあります。

手順③ 費用をケアマネジャーに計算してもらう

月額定額なので、金額は要介護度で決まります。2024年度の介護報酬改定後の金額です。

訪問看護を使わない場合(1割負担・月額)

要介護度月額
要介護15,446円
要介護29,720円
要介護316,140円
要介護420,417円
要介護524,692円

訪問看護も使う場合(一体型・1割負担・月額)

要介護度月額
要介護17,946円
要介護212,413円
要介護318,948円
要介護423,358円
要介護528,298円

※1単位10円で計算した目安です。地域区分により10〜11.40円の幅があります。2割負担なら倍、3割なら3倍になります。

連携型で訪問看護を使う場合は、上の「訪問看護を使わない場合」の金額に加えて、訪問看護事業所の利用料が別途かかります。

訪問介護と、どちらが安いか

目安を計算してみます。要介護3の場合です。

月額の目安(1割負担)
訪問介護(身体介護20分未満)を1日3回×30日約15,000円
定期巡回(要介護3)16,140円

1日3回で、ほぼ同じ。それ以上使うなら定期巡回が有利になります。

そして定期巡回には、24時間の通報体制と、夜間の駆けつけが含まれています。 訪問介護で同じことをすると、深夜加算がついてさらに高くなります。

使う回数が少ないなら、割高になります

サービスを利用しない日があっても、月額は変わりません。

1日1回程度の訪問で足りるなら、通常の訪問介護のほうが安く済みます。ケアマネジャーに、両方の見積もりを出してもらってください。

「いまの訪問介護のままの場合と、定期巡回に切り替えた場合で、月額を比べていただけますか?」

手順④ 併用できるサービスを整理する

月額定額なので、内容が重複するものは併用できません。

併用できないもの併用できるもの
訪問介護デイサービス(その日は減算)
訪問入浴介護ショートステイ(その日は日割り)
夜間対応型訪問介護デイケア(その日は減算)
小規模多機能型居宅介護福祉用具貸与
住宅改修

デイサービスとの併用ができるのが、小規模多機能との大きな違いです。 ただし、通所した日は1日あたりの単位数が減算されます。

福祉用具と住宅改修は、これまでどおり使えます。福祉用具のレンタルと購入、住宅改修20万円の使い方もご覧ください。

手順⑤ 本人がケアコール端末を使えるか確認する

見落とされやすい点です。

随時対応の仕組みは、本人がボタンを押せることが前提です。 認知症が進んでいる場合、押せない、あるいは押しすぎるということが起こります。

見学や相談のときに確認してください。

「本人が端末を使えない場合、どう対応していただけますか?」
「家族から通報することもできますか?」

センサーと連動している事業所や、家族の携帯から通報できる仕組みを持つ事業所もあります。ここは事業所ごとに違います。

あわせて確認したいこと

  • 夜間に何人の職員が待機しているか
  • 通報から到着までの目安の時間
  • 実施地域(自宅が対象範囲に入っているか)
  • 医療処置への対応(たん吸引、インスリン、胃ろうなど)
  • 在宅での看取りに対応しているか

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、事業所ごとに次の情報が確認できます。

  • 特別な医療処置を必要とする利用者の受け入れ状況
  • 在宅での看取り(ターミナルケア)への対応
  • 訪問介護員の人数、常勤の割合、前年度の退職者数
  • 経験年数10年以上の職員数
  • オペレーターの人数と資格

職員の定着率は、サービスの質に直結します。 退職者が多い事業所は、担当が頻繁に変わる可能性があります。

向いている場合と向いていない場合

向いている場合

  • 1日に何度も短い介助が必要(服薬、排泄、体位交換)
  • 夜間の対応で家族が消耗している
  • 一人暮らしで、安否確認を頻繁にしたい
  • 医療的なケアが必要で、看護師の訪問も要る
  • 最期まで自宅で過ごしたい

向いていない場合

  • 1回1時間以上のまとまった支援が必要(通常の訪問介護が向く)
  • 訪問の回数が1日1回程度(定額のぶん割高になる)
  • 要支援1・2
  • 住民票のある市区町村に事業所がない
  • 本人が端末を使えず、家族も常時いない

まとめ|夜が続かないと感じたら

整理します。

  1. 市区町村に事業所があるか確認

    ない市町村も多い。 隣接自治体との調整で使える場合もあります。

  2. 一体型か連携型か

    医療的なケアが要るなら一体型が調整しやすい。

  3. 訪問介護との費用を比べる

    1日3回以上使うなら、定期巡回が有利です。

  4. 併用するサービスを整理

    デイサービスは併用可。訪問介護は不可。

  5. 端末が使えるか確認

    本人が押せない場合の対応を聞いておく。

このサービスの本当の価値は、夜間にあると思います。

夜中に何度も起こされる生活が続くと、介護している側が先に倒れます。「押せば誰か来る」という状態があるだけで、眠れる夜が増えます。

在宅の限界を感じ始めたとき、施設を探す前に検討する価値があります。ただ、事業所がなければ使えません。まず「うちの市にありますか」と聞くところからです。

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出典・参考

  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」定期巡回・随時対応型訪問介護看護 報酬告示(一体型・訪問看護なし:要介護1で5,446単位〜要介護5で24,692単位/一体型・訪問看護あり:要介護1で7,946単位〜要介護5で28,298単位)
  • 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料1(2026年5月25日/地域密着型サービスの認知度・理解度、広域利用に関する自治体間連携)
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型)の事業所比較
  • 介護保険法 第8条第15項(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)/2012年4月創設

この記事の情報は2026年8月時点のものです。1単位あたりの単価は地域区分により10円〜11.40円の幅があります。加算の有無、併用時の減算により実際の金額は変わります。事業所の有無と広域利用の可否は、お住まいの市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

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