要介護度で使えるサービス|7段階の意味を整理する

この記事の要点

  • 区分は7段階。要支援1と要介護5では、使える金額が7.2倍違います
  • 上がり方は一定ではありません。要支援1→2で2.09倍、要介護2→3で1.37倍と大きく跳ねます
  • 要介護3が最大の分かれ目。 ただし特養に「申し込める」だけで、入所者の平均は3.98です
  • 要支援と要介護ではケアプランを作る人が違います
  • 限度額が増えても、サービスの単価も上がるので、使える量は比例しません

認定結果の通知が届いた。「要介護2」と書かれている。それが何を意味するのか、同封された書類を読んでもよく分からない。

ケアマネジャーに聞けばいいのですが、その前に自分でも把握しておきたい。そう思って調べる方は多いと思います。

この記事では、よくある疑問の形で整理しました。数字はすべて公的な基準に基づいています。

目次

区分は、いくつあるのですか

7段階です。

要支援1・2と要介護1〜5。この2つのグループは、名前が似ているだけで、中身がかなり違います。

要支援1・2要介護1〜5
状態の目安日常生活に支援が必要日常生活に介護が必要
サービスの種類介護予防サービス介護給付サービス
ケアプランを作る人地域包括支援センターケアマネジャー(居宅介護支援事業所)
目的今の状態を維持・改善する生活を支える

ケアプランを作る窓口が違う点は、意外と知られていません。 要支援なら地域包括支援センターが担当します。要介護になると、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに引き継がれます。

使える金額は、どれくらい違うのですか

1か月に使えるサービスの上限を、区分支給限度基準額といいます。単位という数え方で決まっていて、1単位はおおむね10円です。

区分限度額(単位)1割負担なら前の区分の何倍
要支援15,032約5,000円—
要支援210,531約10,500円2.09倍
要介護116,765約16,800円1.59倍
要介護219,705約19,700円1.18倍
要介護327,048約27,000円1.37倍
要介護430,938約30,900円1.14倍
要介護536,217約36,200円1.17倍

要支援1と要介護5では、7.2倍の開きがあります。

そして、表の右端を見てください。上がり方が一定ではありません。

  • 要支援1→要支援2で2.09倍。 ここが最も大きく跳ねます
  • 要介護2→要介護3で1.37倍。 要介護の中では最大の伸び
  • それ以外は1.1〜1.2倍程度

この2か所が、制度の設計上の区切りになっています。

2割負担ならこの表の倍、3割負担なら3倍が自己負担額です。判定の仕組みは介護保険の自己負担は1割・2割・3割のどれ?にまとめました。

限度額が増えれば、サービスも比例して増えますか

ここは注意が必要です。増えません。

理由は、介護度が上がると、同じサービスでも単価が上がるからです。

たとえばデイサービスの場合、要介護1と要介護5では、1回あたりの単位数に1.7倍ほどの差があります。介護の手間が増えるぶん、報酬が高く設定されているためです。

つまり、限度額が1.37倍になっても、使うサービスの単価も上がるので、実際に増やせる回数はそれほど変わらないことがあります。

「介護度が上がれば楽になる」とは限りません

限度額の枠は広がりますが、必要な介護の量も同時に増えています。枠が余るわけではありません。 区分変更を申請するときは、この点を踏まえておいてください。

要介護3には、何か特別な意味がありますか

あります。この記事でいちばん重要な部分です。

特別養護老人ホーム(特養)に申し込めるのは、原則として要介護3以上です。

2015年の制度改正で、この要件が設けられました。それまでは要介護1から申し込めましたが、待機者が多いため、重度の方を優先する仕組みに変わっています。

つまり要介護3は、限度額が1.37倍に増える境目であると同時に、入れる施設の選択肢が広がる境目でもあります。

要介護1・2の方でも、次のような事情があれば特例的に申し込める場合があります。

  • 認知症により、日常生活に支障をきたす症状がある
  • 知的障害・精神障害等により、日常生活に支障をきたす症状がある
  • 家族による虐待が疑われるなど、在宅生活が困難
  • 単身世帯で、家族の支援が期待できない

判断は市区町村や施設が行います。 該当しそうなら、ケアマネジャーか施設に直接相談してください。

ただし、要介護3で入れるとは限りません

ここは正直に書きます。要介護3は「申し込める資格」であって、「入れる見込み」ではありません。

特養に実際に入所している方の平均要介護度は3.98。ほぼ4です。入所者の中心は要介護4〜5で、要介護3は下限に近い層になります。

待機者は全国で27.5万人(2022年4月時点)。東京・神奈川・千葉・兵庫・大阪では、それぞれ1万人を超えています。

施設側にも、重度の方を優先する事情があります

特養が算定できる加算の中には、「新規入所者のうち要介護4・5の占める割合が70%以上」といった要件を含むものがあります。重度の方を受け入れるほど、施設の収入が増える仕組みです。

意地悪をしているわけではなく、制度がそう設計されています。 要介護3で申し込む場合は、この構造を知っておいたほうがいいです。

だからといって、申し込まない理由にはなりません。申し込んでおかないと、状態が悪化したときに順番が回ってきません。 早めに出しておく意味はあります。

ただし、特養だけに賭けないでください。 待っている間の受け皿として、次のような選択肢を並行して考えておく必要があります。

特養の申し込みは先着順ではありません。点数で決まる仕組みと、順番を早めるために打てる手を別記事にまとめています。

要支援だと、使えないサービスがありますか

あります。主なものを挙げます。

サービス要支援1・2要介護1〜5
訪問介護・通所介護総合事業として市区町村が実施介護保険サービス
特別養護老人ホーム×原則要介護3以上
介護老人保健施設×○
定期巡回・随時対応型訪問介護看護×○
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)要支援2のみ○○
福祉用具貸与△(品目に制限あり)○

特に押さえておきたいのが1行目です。

要支援の訪問介護・通所介護は、市区町村ごとに違います

2015年から順次、要支援の方の訪問介護と通所介護は介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移りました。全国一律ではなく、市区町村が内容と料金を決めています。

そのため、隣の市と内容が違うことがあります。調べるときは、必ずお住まいの市区町村のページを見てください。 一般的な解説記事の内容が、そのまま当てはまるとは限りません。

福祉用具についても制限があります。要支援1・2と要介護1の方は、原則として車いす、特殊寝台(介護ベッド)、床ずれ防止用具などが対象外です。ただし、状態によっては例外的に認められる場合があります。

認定結果に納得できないときは

2つの方法があります。

  1. 区分変更申請をする

    状態が変わった場合に、認定の有効期間中でも改めて申請できます。実務上はこちらを使うことが多いです。 窓口は市区町村。ケアマネジャーが代行してくれることもあります。

    ただし、下がる可能性もあります。 申請前にケアマネジャーと相談してください。

  2. 審査請求をする

    都道府県の介護保険審査会に不服を申し立てる制度です。結果を知った日の翌日から3か月以内。時間がかかるため、実際に使われることは多くありません。

認定調査のときに本人が実際より元気に振る舞ってしまい、実態より軽く出ることはよくあります。調査には家族が同席し、普段の様子を伝えてください。 認定の流れはこちらの記事に書いています。

限度額を超えたら、どうなりますか

超えた分は全額自己負担です。1割負担の方でも、超過分は10割になります。

ただし、限度額の対象外になるサービスもあります。

  • 居宅療養管理指導
  • 特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 福祉用具購入費(年10万円まで別枠)
  • 住宅改修費(20万円まで別枠)

住宅改修の20万円と福祉用具購入の10万円は、限度額とは別の枠です。 手すりの設置や段差の解消は、月々のサービスを圧迫しません。

まとめ|区分の意味を、3つに整理すると

  1. 使える金額の上限が決まる

    要支援1で約5,000円、要介護5で約36,200円(1割負担)。7.2倍の差があります。

  2. 使えるサービスの種類が決まる

    要支援では特養・老健が使えません。訪問介護と通所介護は市区町村ごとの総合事業になります。

  3. 要介護3で、特養の申し込みが可能になる

    限度額が1.37倍になり、同時に特養への申し込みができるようになります。ただし入所者の平均要介護度は3.98。 申し込みは早めに出しつつ、他の選択肢も並行して考えてください。

区分は状態を測るものであって、「軽いから安心」「重いから終わり」という話ではありません。 要支援のうちに使えるサービスを入れておくことで、その状態を長く保てることもあります。

まず、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに、「うちの区分だと、何が使えますか」と聞いてください。 市区町村ごとの違いも含めて答えてもらえます。

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出典・参考

  • 区分支給限度基準額(2019年10月改定。以降据え置き。要支援1=5,032単位〜要介護5=36,217単位)
  • 介護保険法(要介護認定、区分支給限度基準額、住宅改修費・福祉用具購入費の上限)
  • 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」(要支援者の訪問型・通所型サービスの市町村事業への移行)
  • 介護保険法第8条第27項ほか(特別養護老人ホームの入所要件。2015年4月から原則要介護3以上)
  • 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(要介護度別の単位数)
  • 全国老人福祉施設協議会「介護老人福祉施設等 収支状況等調査」(特養の平均要介護度3.98)
  • 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(待機者27.5万人/2022年4月時点)
  • 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料(日常生活継続支援加算等の要件。新規入所者に占める要介護4・5の割合70%以上)

この記事の情報は2026年8月時点のものです。1単位あたりの単価は地域とサービスの種類によって10円〜11.40円の幅があります。総合事業の内容・料金は市区町村ごとに異なるため、必ずお住まいの自治体にご確認ください。

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