この記事の要点
- 期限があるのは7日以内・14日以内・4ヶ月以内・10ヶ月以内の4段階です
- 最初の2週間で、役所の手続きの大半が終わります
- 死亡診断書のコピーを10部以上取っておいてください。あとで何度も必要になります
- 介護保険料は払いすぎが戻ってくることがあります
- 申請しないともらえないお金が、いくつもあります
介護には、いつか終わりが来ます。
そして、その直後から手続きが始まります。悲しむ時間より先に、期限のある書類が並びます。
この記事は、その順番を整理したものです。全部を一度にやる必要はありません。 期限があるものから片づければ十分です。
まず全体像を押さえる
期限は4段階に分かれます。
| 期限 | 主な手続き |
|---|---|
| 7日以内 | 死亡届、火葬許可申請 |
| 14日以内 | 介護保険、健康保険、年金、世帯主変更 |
| 1ヶ月をめどに | 公共料金、銀行、各種解約 |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告 |
| 10ヶ月以内 | 相続税の申告 |
| 2年以内 | 葬祭費、高額療養費の請求 |
最初の2週間で、役所の手続きの大半が終わります。 そこを乗り切れば、あとは少し落ち着いて進められます。
手順① 7日以内にやること
実際には葬儀社が代行してくれることが多い部分です。
- 死亡診断書を受け取る(病院・医師から)
- 死亡届を提出する(死亡を知った日から7日以内)
- 火葬許可証を受け取る
提出先は、故人の本籍地・死亡地・届出人の住所地のいずれかの市区町村です。
死亡診断書のコピーを10部以上取ってください
これが、この記事でいちばん実務的なアドバイスです。
死亡診断書は、提出すると手元に戻りません。 ところが、そのあとの手続きで何度も必要になります。
- 保険金の請求
- 年金の手続き
- 金融機関の手続き
- 各種の解約
提出する前に、コピーを多めに取っておいてください。 あとから再発行してもらうと、費用と時間がかかります。
手順② 14日以内にやること
ここが山場です。役所で、まとめて済ませられます。
介護保険の手続き
- 介護保険資格喪失届を提出する
- 介護保険被保険者証を返却する
- 負担割合証、負担限度額認定証があれば一緒に返却
要介護・要支援の認定を受けていた方が対象です。提出しないと、保険料が請求され続けることがあります。
健康保険の手続き
| 加入していた保険 | 手続き |
|---|---|
| 後期高齢者医療制度(75歳以上) | 資格喪失届を提出し、保険証を返却 |
| 国民健康保険 | 資格喪失届を提出し、保険証を返却 |
| 会社の健康保険 | 勤務先が手続きします。まず会社へ連絡 |
故人の扶養に入っていた家族がいる場合、その人も同時に資格を失います。 国民健康保険への加入手続きが必要です。
年金の停止
年金だけ期限が違います
厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内です。
止め忘れると、あとで返還を求められます。年金事務所または年金相談センターへ連絡してください。
なお、マイナンバーが日本年金機構に登録されている場合、届出が不要になることがあります。心当たりがあれば、年金事務所に確認してください。
世帯主変更届
亡くなった方が世帯主で、残る世帯員が2人以上いる場合に必要です。
残るのが1人だけなら、自動的にその人が世帯主になるので手続きは不要です。
手順③ 1ヶ月をめどに整理する
期限は厳密ではありませんが、放っておくと支払いが続きます。
- 電気・ガス・水道の名義変更または解約
- 電話、インターネット、NHK
- 新聞、定期購読、サブスクリプション
- クレジットカード
- 運転免許証の返納
- マイナンバーカードの返却
- 介護サービス事業所への連絡(ケアマネジャー、デイサービス、訪問介護など)
引き落とし口座が凍結されると、支払いが止まります
金融機関が死亡を把握すると、口座が凍結されます。その口座から引き落とされていた公共料金などが、未払いになります。
先に名義変更や引き落とし口座の変更を済ませておくと、あとが楽です。
介護用品の返却も忘れずに
レンタルしていた福祉用具は、返却の連絡が必要です。 介護ベッド、車いす、手すりなど。
連絡が遅れると、その分の費用が発生します。ケアマネジャーに一報を入れれば、まとめて調整してくれます。
手順④ 4ヶ月以内に準確定申告
亡くなった方に確定申告の必要があった場合、相続人が代わりに申告します。 これを準確定申告といいます。
期限は、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
ここで控除を忘れないでください
準確定申告では、亡くなった年の医療費控除や障害者控除も申告できます。
障害者控除は、通常は12月31日時点で判定しますが、亡くなった場合は死亡日で判定します。 つまり、その年も対象になる可能性があります。
要介護認定を受けていた方なら、市区町村に障害者控除対象者認定書を申請できます。 手数料は無料です。
介護サービスの自己負担が医療費控除の対象になるかは、使っていたサービスの種類で変わります。 訪問看護やデイケアを使っていたなら、デイサービスの分も対象になります。
手順⑤ 10ヶ月以内に相続税
相続税の申告・納付は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
ただし、すべての人が対象になるわけではありません。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産の総額がこれを超えなければ、申告は不要です。相続人が3人なら4,800万円までは対象外です。
相続放棄は3ヶ月以内です
借金などの負債が多い場合、相続放棄という選択肢があります。 ただし期限は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内。
これは他の手続きより早い期限です。負債がありそうなら、早めに弁護士や司法書士に相談してください。
当サイトは税理士事務所ではありません。不動産がある場合や、金額が大きい場合は、税理士にご相談ください。
手順⑥ 申請しないともらえないお金
ここが、見落とされやすい部分です。
介護保険料の還付
介護保険料は年金から天引きされています。 そのため、亡くなった時点で払いすぎが発生することがあります。
通常は、死亡の届出をすると市区町村が計算して通知してきます。ただし、通知が来ないこともあります。
「介護保険料の精算はどうなりますか? 還付があれば手続きを教えてください」
役所の窓口で、この一言を添えてください。
高額介護サービス費・高額療養費
申請していなかった月の分が残っている可能性があります。
月ごとの自己負担が上限を超えていれば、超過分が戻ります。時効は2年です。
詳しくは高額介護サービス費と補足給付にまとめました。
医療費と介護費の合算
1年間の医療費と介護費を合算する制度もあります。計算期間は8月1日から翌年7月31日まで。
亡くなった方の分も対象になります。こちらも時効は2年です。 こちらの記事をご覧ください。
葬祭費・埋葬料
| 加入していた保険 | 支給されるもの |
|---|---|
| 国民健康保険・後期高齢者医療 | 葬祭費(自治体により3〜7万円程度) |
| 会社の健康保険 | 埋葬料(5万円) |
喪主または葬儀を行った方が請求できます。期限は2年以内。
役所で資格喪失届を出すときに、同時に手続きできることが多いです。窓口で聞いてください。
未支給年金・遺族年金
亡くなった月の分までの年金は、まだ支払われていない場合があります。 これを未支給年金といい、生計を同じくしていた遺族が請求できます。
配偶者がいる場合は、遺族年金の対象になることもあります。
いずれも時効は5年です。 年金事務所で確認してください。
やらなくていいこと
最後に、これも書いておきます。
すべてを完璧に、すぐに片づける必要はありません。
| 急ぐもの | あとでいいもの |
|---|---|
| 死亡届(7日) | 遺品の整理 |
| 年金の停止(10日/14日) | 写真やアルバムの整理 |
| 介護保険・健康保険(14日) | 実家をどうするかの結論 |
| 相続放棄(3ヶ月) | 細かい持ち物の処分 |
右側は、期限がありません。気持ちが落ち着いてから始めても、何も問題は起きません。
介護をしてきた方は、手続きが終わったあとに、急に力が抜けることがあります。 それまで張り詰めていたものが、目標を失うためです。
そのときは、無理に何かを始めなくて構いません。
まとめ|期限のあるものだけ先に
整理します。
7日以内
死亡届、火葬許可。死亡診断書のコピーを10部以上取る。
14日以内
介護保険、健康保険、年金(厚生年金は10日)、世帯主変更。役所でまとめて。
1ヶ月をめどに
公共料金、銀行、解約。福祉用具の返却も。
4ヶ月以内
準確定申告。医療費控除と障害者控除を忘れずに。
10ヶ月以内
相続税。基礎控除を超えなければ申告不要。
2年以内
葬祭費、高額介護サービス費、合算制度。申請しないともらえません。
役所へ行くときは、まとめて済ませるのが効率的です。 多くの市区町村に「おくやみ窓口」があり、必要な手続きを案内してくれます。
「母が亡くなりました。必要な手続きをまとめて教えていただけますか?」
この一言で、順番に案内してもらえます。一人で調べる必要はありません。
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出典・参考
- 戸籍法 第86条(死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内)
- 介護保険法/国民健康保険法/高齢者の医療の確保に関する法律(資格喪失届は14日以内)
- 国民年金法・厚生年金保険法(受給権者死亡届:国民年金14日以内、厚生年金10日以内)
- 住民基本台帳法 第25条(世帯主変更届は14日以内)
- 所得税法 第125条(準確定申告は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内)/相続税法 第27条(申告は10ヶ月以内)/民法 第915条(相続の放棄は3ヶ月以内)
- 国税庁 タックスアンサー No.1180(障害者控除の判定は死亡の時の現況による)
この記事の情報は2026年9月時点のものです。当サイトは税理士事務所・法律事務所ではなく、記載内容は個別の税務・法的判断を目的としたものではありません。手続きの詳細や必要書類は市区町村によって異なります。相続や税の手続きについては、税理士・司法書士・弁護士、またはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

