この記事の要点
- サ高住の大半は、法律上「有料老人ホーム」にも該当する。名前だけでは区別できない
- 施設内で介護が受けられる「介護型」は、全体の10.0%だけ
- 部屋にお風呂があるのは20.2%。25㎡未満の居室が78.7%を占める
- 月額の平均は11.0万円。ただし食費も介護費も入っていない数字
- 見分ける情報は国のサイトで無料公開されている。見学前に自宅で確認できる
ケアマネジャーや病院の相談員から、パンフレットを何枚か渡される。表紙には「サービス付き高齢者向け住宅」と書かれたものと、「住宅型有料老人ホーム」と書かれたものが混ざっている。写真も間取りも、料金表の形式も、ほとんど同じに見えます。
違いを説明してもらっても、「賃貸住宅か施設か」という話になって、それが自分の親にとって何を意味するのかが、いまひとつつながらない。
先に結論を書きます。この2つは、名前で選び分けるものではありません。 同じ「サ高住」でも、中身は正反対と言っていいほど違います。夜間に職員がいる建物といない建物、部屋にお風呂がある建物とない建物、介護を選べる建物と実質的に選べない建物が、すべて同じ名前で並んでいます。
この記事では、パンフレットと重要事項説明書を上から順に見ていくだけで判別できるよう、確認の手順を6つに分けました。順番に追ってください。
そもそも、なぜ紛らわしいのか
手順に入る前に、混乱の原因を片づけておきます。
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、2011年に高齢者住まい法の改正でできた登録制度です。バリアフリーであること、安否確認と生活相談を提供することなどの基準を満たした住宅が、都道府県に登録されます。2026年3月末時点で、全国に8,337件、291,498戸あります。
一方の有料老人ホームは、老人福祉法に基づく届出制の施設です。そしてこの法律での定義が、かなり広い。食事の提供、入浴・排せつ・食事の介護、洗濯や掃除などの家事、健康管理。このうちどれか1つでも提供していれば、有料老人ホームに該当します。
サ高住のうち、食事を提供しているのは96.4%です。
つまり、ほとんどのサ高住は、法律上は有料老人ホームでもあります。「サ高住か、有料老人ホームか」という二択の立て方そのものが、実態に合っていません。
では何が違うのか。実質的な違いは2点です。契約の形と、介護サービスがどこから来るか。
契約の形は、サ高住の91.6%が賃貸借契約です。有料老人ホームは、居住と介護をセットにした「利用権方式」が多くを占めます。賃貸借契約は借地借家法で守られるため、居住の権利は相対的に強いと言えます。介護サービスの出所は、手順1で見ていきます。
手順1:「特定施設」の指定があるかを見る
最初に確認するのは、そのサ高住が特定施設入居者生活介護の指定を受けているかです。
受けている場合、介護は建物の職員が提供します。費用は要介護度に応じた定額です。これがいわゆる「介護型」で、実質的には介護付き有料老人ホームとほぼ同じ仕組みになります。
受けていない場合は「一般型」です。介護が必要になったら、外部の訪問介護やデイサービスと自分で契約します。費用は使った分だけかかり、介護保険の区分支給限度額の範囲内で組み立てることになります。
指定を受けているサ高住は、全体の10.0%です。
「24時間スタッフ常駐」は、介護体制のことではありません
残りの90.0%は一般型です。パンフレットに「24時間スタッフ常駐」「安心の介護体制」と書かれていても、それが特定施設であることを意味するとは限りません。安否確認のための常駐と、介護を提供する体制は別のものです。
確認方法は3つあります。重要事項説明書の「介護保険の指定」欄、パンフレットの表記、そして後述する国のサイトです。「介護付き」と名乗れるのは特定施設の指定を受けた施設だけなので、この表記の有無は一つの目印になります。
手順2:介護を、どこから受けることになるかを見る
一般型のサ高住を検討するなら、次はここです。同じ建物や隣に、介護事業所が併設されているかどうか。
サ高住の73.5%は、何らかの高齢者生活支援施設を併設または隣接させています。
| 併設・隣接している施設 | 割合 |
|---|---|
| 訪問介護事業所 | 40.3% |
| 通所介護事業所(デイサービス) | 39.2% |
| 居宅介護支援事業所(ケアマネの事務所) | 18.7% |
| 訪問看護事業所 | 10.1% |
併設それ自体は、悪いことではありません。移動の負担がなく、緊急時の対応も早い。サ高住の事業者の72.7%が介護系の会社であることを考えれば、自然な形とも言えます。
問題になるのは、それが「選べる」のか「そうするしかない」のかです。
厚生労働省は2025年11月、有料老人ホームのあり方を議論する検討会のとりまとめを公表しました。そこでは「囲い込み」への対策が柱の一つに据えられ、利用者の選択の自由が保障されているか、ケアマネジメントに圧力がかからない環境が整っているかが重要だと示されています。実際に寄せられた苦情として、ホーム指定のケアマネジャーを使うよう言われた、協力医療機関でない病院への通院介助をしてもらえない、といった例が挙げられています。
見学のときに聞くのは、次の一言で足ります。
「外部の訪問介護事業所やケアマネジャーを使っている入居者の方は、いま何人いらっしゃいますか」
制度上は選べることになっていても、実績がゼロなら、事実上は選べません。 人数を聞けば、その差がわかります。
なお、ケアマネジャーは入居後でも変更できます。
手順3:夜、人がいるかを見る
登録基準では、安否確認と生活相談を「少なくとも日中は常駐して」提供することが求められています。裏を返せば、夜間の常駐は必須ではありません。
実際、日中も夜間も職員が常駐しているサ高住は75.9%。残りの24.1%は、日中のみの常駐です。夜間は緊急通報システムで対応します。
4棟に1棟は、夜に人がいない。知らずに入居すると、かなり印象の違う話になります。
確認する言葉は具体的にします。「夜間の体制はどうなっていますか」では、「緊急通報で対応しています」と答えられて終わります。
「夜10時から朝6時まで、この建物の中に職員は何人いますか」
「緊急通報を押してから、人が部屋に来るまでの目安は何分ですか」
夜間の常駐がないこと自体は、悪いことではありません。自立に近い方であれば、そのぶん家賃が抑えられている場合もあります。必要なのは、知らないまま契約しないことです。
手順4:部屋の広さと、水回りを見る
サ高住の登録基準は「各居室は原則25㎡以上」です。ただし例外があり、居間や食堂、台所などが共用部分に十分な面積で確保されていれば、18㎡以上でよいことになっています。
実際の分布を見ると、この例外のほうが主流です。
| 専用部分の床面積 | 割合 |
|---|---|
| 18㎡以上20㎡未満 | 65.2% |
| 20㎡以上25㎡未満 | 13.4% |
| 25㎡以上30㎡未満 | 12.1% |
| 30㎡以上 | 9.2% |
25㎡未満が78.7%。平均は21.9㎡です。畳に直すとおよそ13畳ですが、そこにトイレと洗面が含まれます。
設備は、さらに差が出ます。
| 居室の設備 | 設置率 |
|---|---|
| トイレ | 100.0% |
| 洗面 | 99.9% |
| 台所 | 35.5% |
| 浴室 | 20.2% |
| 5点すべて完備 | 19.3% |
部屋にお風呂があるのは、5戸に1戸です。 残りは共同浴室を使います。入浴は時間帯が決められていることが多く、週2〜3回という運用もあります。
自宅で毎日湯船に浸かっていた方にとっては、生活の質に直結する変化です。パンフレットの間取り図は共用部分の写真が大きく、居室の水回りは小さくしか載っていないことがあります。間取り図の記号を、自分の目で確かめてください。
手順5:月額の「外側」に何があるかを見る
国土交通省の集計では、サ高住の月額費用の平均は次のとおりです。
| 地域 | 月額の平均 |
|---|---|
| 全国 | 11.0万円 |
| 大都市圏 | 12.7万円 |
| 地方圏 | 9.2万円 |
ここが最も誤解の生まれるところです。この11.0万円に含まれているのは、家賃・共益費・必須サービス費(安否確認と生活相談)の3つだけです。
含まれていないものを並べます。
- 食費
- 介護保険サービスの自己負担分
- 水道光熱費
- 医療費、おむつ代、日用品費
- 生活支援サービスの追加料金(買い物代行、通院同行など)
「月11万円で入れる」と読むと、必ず狂います。 ただし、このうち上の2つは、資料が手元にあれば自分で計算できます。
月額を自分で出す、3つの計算
家賃・共益費・サービス費を書き写す
重要事項説明書の月額欄にあります。上の表はあくまで全国の平均で、実際の数字はこの欄です。
食費に30を掛ける
食費は「1日1,650円」「朝食450円・昼食650円・夕食750円」のように、1日あたりで書かれていることがほとんどです。 月額と読み違えると、数万円ずれます。3食分を合計して、30を掛けてください。
欠食したときに返金されるかどうかも、あわせて確認してください。返金なしの施設もあります。
介護保険の自己負担の「天井」を出す
一般型は使った分だけかかりますが、上限は決まっています。区分支給限度基準額です。これを超えた分は全額自己負担になります。
| 要介護度 | 限度額(単位) | 1割負担の月額上限 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 16,765単位 | 約16,700円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約19,700円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約27,000円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約30,900円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約36,200円 |
1単位を10円として計算した金額です。地域によって10円〜11.40円の幅があります。この単位数は2019年10月の改定から変わっていません。
2割・3割負担の方は、この2倍・3倍になります
負担割合は本人と世帯の所得で決まります。要介護3で3割負担なら、上限は月8万円台です。ご自身の割合は介護保険負担割合証に書かれています。判定の仕組みは、負担割合の記事にまとめています。
1+2+3が、毎月出ていく金額の骨格です。 ここに水道光熱費と日用品費が乗ります。一般型のサ高住で介護が必要になると、この計算をした時点で、平均の11.0万円とはかなり違う数字が出るはずです。
資料請求のときは、「要介護3の方の場合の月額モデルを、食費と介護保険の自己負担を含めた形で出してください」と伝えてください。これで出せない事業者は、入居後の説明も期待できません。
初期費用については、サ高住に有利な決まりがあります
権利金その他の金銭を受領する契約は、そもそも登録できません。受け取れるのは敷金、家賃、サービス費、およびその前払金だけです。有料老人ホームで見かける数百万円の入居一時金は、サ高住には原則としてありません。敷金は家賃の2〜3か月分が目安です。
なお、前払金を受け取る場合は返還ルールと保全措置が義務づけられています。契約書に返還の計算方法が書かれているか、確認してください。
手順6:出ていくことになる条件を見る
最後の手順です。そして、見落とされやすい手順でもあります。
サ高住の入居者の実態を見ると、要介護3以上の方が36.6%を占めています。85歳以上が60.5%。決して「元気な高齢者だけの住まい」ではありません。
一方で、入浴などの介護サービスを提供しているサ高住は49.9%にとどまります。 半分です。
つまり、重度化したときに対応できる建物と、できない建物が混在しています。契約書には、退去を求められる条件が必ず書かれています。よくあるのは次のような項目です。
- 医療的なケアが継続的に必要になったとき
- 認知症が進行し、共同生活が難しいと判断されたとき
- 他の入居者に危害を及ぼすおそれがあるとき
賃貸借契約であっても、こうした条項は設けられています。居住の権利が強いことと、いつまでも住み続けられることは、同じではありません。
聞くべきことは1つです。
「これまでに退去された方は、どういう理由で、どこへ移られましたか」
答えが「ほとんどの方が最期までいらっしゃいます」なのか、「介護度が上がった方は特養や介護付きホームへ移られます」なのかで、その建物の性格がわかります。後者が悪いわけではありません。次の住まいを探すことになる前提で入るのと、そうと知らずに入るのとでは、心構えがまったく違うというだけです。
看取りまで希望するなら、この質問は最初にしてください。
見学の前に、自宅で確認できます
ここまで6つの手順を挙げましたが、そのうち手順1・3・4は、見学に行かなくても確認できます。
国土交通省の「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」では、登録されたすべてのサ高住の情報が無料で公開されています。所在地、居室の面積、設備、提供サービス、常駐時間、料金。登録事項なので、事業者が広告で強調したい部分だけを見せる形にはなっていません。
仕事の合間に見学の予定を組むのは、簡単ではないはずです。先にここで絞り込んでから、実際に足を運ぶ建物を2〜3件に減らしてください。
制度が変わります(2026年6月公布)
これから入居を考える方に関係する動きを、1つだけ。
2026年6月25日、社会福祉法等の一部を改正する法律が公布されました。有料老人ホームに関して、次の内容が含まれています。
- 中重度の要介護者等が入居する施設について、届出制から登録制への転換(5年ごとの更新制)
- 登録を受けた施設の入居者向けに、新たなケアマネジメント類型「登録施設介護支援」を創設
- 誇大広告の禁止、契約締結前の書面交付・説明義務の整備
背景にあるのは、手順2で触れた「囲い込み」対策です。ケアプラン作成にこれまでなかった利用者負担が生じる点も、議論になっています。
施行時期や対象範囲の詳細は、今後の政省令で定められます。サ高住がこの登録制でどう扱われるかも、現時点では確定していません。 決まり次第、この記事を更新します。
まとめ|迷っている方へ
6つの手順を、もう一度並べます。
特定施設の指定があるか
施設内で介護が受けられる「介護型」は10.0%だけ。
介護を、どこから受けることになるか
併設は73.5%。良し悪しではなく、「選べるか」を実績の人数で聞く。
夜、人がいるか
24.1%は日中のみの常駐。夜10時から朝6時の人数を聞く。
部屋の広さと水回り
25㎡未満が78.7%。浴室があるのは20.2%。
月額の外側に何があるか
平均11.0万円に、食費も介護費も入っていない。食費×30日と限度額を足して自分で出す。
出ていくことになる条件
介護サービスの提供は49.9%。退去した人の行き先を聞く。
このうち1・3・4は、国のサイトで今夜にでも確認できます。2・5・6は、見学と契約前の説明で聞いてください。
どの建物が良いかを決める前に、そもそも今、住まいを移す段階なのかを相談したい場合は、地域包括支援センターが窓口になります。無料です。施設の紹介を目的としていないため、「まだ在宅で続けられる」という答えが返ってくることもあります。
判断を急がされていると感じたときほど、この6つを一つずつ潰していってください。数字を確認する作業には、気持ちを落ち着かせる効果もあります。
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出典・参考
- 一般社団法人高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和7年8月末時点)」(特定施設10.0%、賃貸借契約91.6%、提供サービス、常駐体制、床面積、居室設備、併設施設、事業者種別)
- 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について」資料1(入居費用の平均、入居者の介護度・年齢、登録基準)
- 高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2026年3月)」(登録8,337件・291,498戸)
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」/老人福祉法第29条
- 区分支給限度基準額(2019年10月改定。2026年6月の介護報酬改定でも単位数の変更なし)
- 厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ」(2025年11月5日)
- 厚生労働省 介護保険最新情報vol.1518「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について」(2026年6月25日)
この記事の情報は2026年8月時点のものです。入居費用の平均は2023年8月末、住宅の実態に関する数値は2025年8月末時点の集計です。個別の施設の条件は建物ごとに異なります。契約前には、必ず重要事項説明書と契約書でご確認ください。

