この記事の要点
- 判定は本人の所得と世帯の収入、2つの条件を両方満たすかで決まる
- 片方だけ超えていても割合は上がらない。年金額だけを見て判断すると読み違える
- 申請は不要。毎年7月に届く「介護保険負担割合証」に書いてある
- 割合が上がっても、高額介護サービス費で月々の負担には上限がある
- 2割負担の対象拡大が議論されている(令和9年度前までに結論の見込み)
「うちの親は何割負担になるんだろう」
介護サービスを使い始めるとき、多くの人が最初に気にする点です。1割と3割では、支払いが3倍変わります。
ただ、この判定の仕組みは誤解されやすい形になっています。年金の額だけを見て「うちは2割だ」と思い込んでいる人が少なくありません。
この記事では、判定の仕組みを整理します。
まず結論:2つの条件を両方満たすかどうか
自己負担割合は、2段階で判定されます。
条件1:本人の合計所得金額
条件2:世帯の65歳以上の人の「年金収入+その他の合計所得金額」
この両方を満たしたときだけ、2割または3割になります。片方だけ超えていても、割合は上がりません。
ここが最も誤解されている部分です。
判定の基準額
3割負担になる場合
| 条件 | 基準 |
|---|---|
| 本人の合計所得金額 | 220万円以上 |
| かつ、世帯の年金収入+その他の合計所得(単身) | 340万円以上 |
| かつ、世帯の年金収入+その他の合計所得(2人以上) | 463万円以上 |
2割負担になる場合
| 条件 | 基準 |
|---|---|
| 本人の合計所得金額 | 160万円以上 |
| かつ、世帯の年金収入+その他の合計所得(単身) | 280万円以上 |
| かつ、世帯の年金収入+その他の合計所得(2人以上) | 346万円以上 |
それ以外は1割
上記に当てはまらない場合は、すべて1割負担です。実際には、多くの方が1割に該当します。
つまずきやすい3つのポイント
1. 「年収」ではなく「合計所得金額」
条件1で使うのは、収入ではなく所得です。
年金収入から公的年金等控除を引いた後の金額なので、受け取っている年金額そのものではありません。
たとえば年金収入が250万円あっても、控除後の合計所得金額は160万円を下回ることがあります。この場合、条件1を満たさないので1割です。
「年金が280万円あるから2割だ」という判断は、間違いのもとです。
2. 世帯で見る条件がある
条件2は、同じ世帯にいる65歳以上の人全員の年金収入とその他の所得を合計します。
つまり、夫婦とも65歳以上の場合、配偶者の収入も判定に関わります。 本人の年金が少なくても、配偶者に収入があれば、世帯の合計で基準を超えることがあります。
逆に、世帯分離をすれば下がるのかと考える方がいますが、制度の目的から外れた世帯分離は認められないことがあります。 自己判断せず、市区町村に確認してください。
3. 40〜64歳は原則1割
介護保険には、40〜64歳の方(第2号被保険者)も加入しています。特定疾病に該当すればサービスを使えます。
この年代の方は、所得にかかわらず原則1割です。2割・3割の判定は、65歳以上(第1号被保険者)が対象です。
自分の割合を確認する方法
負担割合証を見る
判定は市区町村が自動で行うので、申請は不要です。
結果は「介護保険負担割合証」という書類に書かれています。
- 毎年7月ごろに、要介護・要支援の認定を受けている方へ郵送される
- 有効期間は8月1日から翌年7月31日まで
- サービスを使うときは、介護保険被保険者証と一緒に提示する
毎年変わる可能性がある
前年の所得で判定するので、年によって割合が変わることがあります。
退職した翌年、不動産を売却した翌年などは特に注意してください。届いた証は必ず中を確認し、変わっていたらケアマネジャーに伝えてください。 費用の見通しが変わります。
紛失したとき
市区町村の介護保険担当窓口で再発行できます。手数料はかかりません。
3割でも、支払いが3倍になるわけではない
ここが重要です。割合が上がっても、月々の自己負担には上限があります。
高額介護サービス費という制度で、一定額を超えた分は後から払い戻されます。上限額は所得区分ごとに決まっています。
つまり、サービスをたくさん使う方ほど、割合の差は上限で吸収されます。 3割負担でも、上限に達すればそれ以上は増えません。
詳しくは別記事にまとめています。
- 高額介護サービス費と補足給付で、いくら戻るか
ただし、上限の対象になるのは介護サービスの自己負担分だけです。食費、居住費、日用品費などは対象外なので、施設入居を検討している場合は別に見積もる必要があります。
今後の見直しについて
2割負担の対象を広げる議論が進んでいます。
厚生労働省の社会保障審議会では、「一定以上所得」の判断基準の見直しが検討課題として挙げられており、第10期介護保険事業計画期間の開始(令和9年度)の前までに結論を得るとされています。
検討されている内容には、次のようなものがあります。
- 対象となる年収の基準を引き下げる
- 急な負担増を避けるため、増加額に上限を設ける配慮措置
- 収入が基準を超えていても、預貯金が一定額以下なら申請により1割に戻す仕組み
まだ決定ではありません。 ただ、介護費用の見通しを立てるときは、「将来上がる可能性がある」ことを前提にしておくほうが安全です。
制度改正の動きは、お住まいの市区町村または厚生労働省の公表資料でご確認ください。
費用の見通しを立てるときは
自己負担割合がわかったら、次は月にいくらかかるかを試算します。
考えるべき要素は3つです。
- 介護サービスの自己負担(割合 × 使う量。上限あり)
- 食費・居住費(施設の場合。上限の対象外)
- その他(医療費、日用品、理美容など)
このサイトのシミュレーターで、施設の種類と要介護度から月額の目安を試算できます。年金でどこまでまかなえるかも表示されます。
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出典・参考
- 厚生労働省「介護保険制度における利用者負担」
- 厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会 とりまとめ
- 介護保険法 第49条の2、第59条の2
この記事の情報は2026年8月時点のものです。基準額や制度は改正される場合があります。ご自身の負担割合は、必ず介護保険負担割合証またはお住まいの市区町村でご確認ください。

