親が食事を作らなくなったら|まず理由を切り分ける

この記事にはプロモーション(広告)を含みます。公的制度と無料でできる方法を先に紹介し、向いていない場合も併せて記載しています。

この記事の要点

  • 「食べない」には3つの理由があります。 作れない、食べられない、食べたくない
  • 理由によって、必要な対策がまったく違います。切り分けが先です
  • 体重を測ってください。 本人の申告より確実です
  • 管理栄養士が自宅に来る制度があります。月2回、1割負担で1回約537円
  • 配食サービスは食事の確保と安否確認を兼ねられます

実家の冷蔵庫を開けたら、期限の切れたものばかりだった。カップ麺とパンしかない。「ちゃんと食べてる」と言うけれど、明らかに痩せている。

この状態を放っておくと、体力が落ち、転びやすくなり、そこから一気に状態が悪化します。

ただ、いきなり「配食サービスを頼もう」とするのは、順番が違います。 手順を6つに分けて書きます。

目次

手順① 体重を測る

最初にやることは、これです。

本人は「食べてる」と言います。 悪気はなく、本当にそう思っています。ところが体重は嘘をつきません。

確認すること やり方
いまの体重 帰省したときに測る。体重計がなければ買う
変化 前回と比べる。記録しておく
見た目 ベルトの穴、指輪、腕の細さ、頬のこけ

半年で3〜4kg減っているなら、受診の目安です

高齢者の体重減少は、そこから悪循環に入ります。

食事量が減る → 体力が落ちる → 活動量が減る → さらに食欲が落ちる。この輪に入ると、自力では抜け出せません。

筋力の低下で転倒しやすくなり、免疫も下がります。早い段階で気づくほど、戻しやすい。

手順② 3つの理由に切り分ける

ここが、この記事でいちばん重要な部分です。

「食べない」には、まったく違う3つの理由があります。 そして、対策も違います。

理由 状態 必要な対策
作れない 買い物や調理ができなくなった 配食、訪問介護、デイサービス
食べられない 噛めない、飲み込めない、口が痛い 歯科、嚥下の評価
食べたくない 食欲がない、意欲が落ちている 受診(原因の特定)

多くの家族は「作れない」だと考えて、配食サービスを頼みます。

ところが、実際には「食べられない」「食べたくない」だった場合、配食を頼んでも食べ残されるだけです。 弁当が冷蔵庫にたまっていく。

どう切り分けるか

  • 台所を見る(調理器具に使った形跡があるか。ガスコンロが汚れていないなら、作っていない)
  • ゴミを見る(何を食べたかが分かる。菓子パンやカップ麺ばかりでないか)
  • 食べているところを見る(時間がかかる、むせる、片側だけで噛む)
  • 好きだったものを出してみる(それも食べないなら、食欲そのものが落ちている)

4つ目が効きます。 好物なら食べるなら、原因は「作れない」。好物でも食べないなら、体か気持ちの問題です。

手順③ 受診する

「食べたくない」「食べられない」なら、まず受診してください。

食欲不振の背景には、対応できる原因があることがあります。

  • 薬の副作用
  • 便秘
  • 口の中の痛み、義歯が合わない
  • 飲み込む力の低下
  • 脱水
  • 気持ちの落ち込み
  • 甲状腺などの病気

特に薬は見落とされやすい部分です。 高齢者は複数の薬を飲んでいることが多く、その組み合わせで食欲が落ちることがあります。

受診のとき、こう伝えてください。

「半年で体重が3kg減りました。食事の量も減っています」

体重の数字があると、話が早い。 「あまり食べていないようです」より、はるかに具体的です。

口の中も見てもらう

義歯が合っていないだけで、食べる量は大きく減ります。

痛くて噛めない、外れる、口内炎がある。本人は「年だから食べられない」と思い込んでいることがあります。

通院が難しい場合、訪問歯科診療という選択肢があります。歯科医師や歯科衛生士が自宅に来ます。介護保険の居宅療養管理指導としても提供されます。

手順④ 作らなくていい形にする

「作れない」が理由なら、ここです。作らせようとせず、作らなくていい状態にします。

手段 内容
配食サービス 自治体の総合事業として低額で提供されている地域があります
デイサービス 昼食が出ます。週2回なら週2食が確保できます
訪問介護 調理を頼めます(同居家族がいると制限あり)
民間の宅配 冷凍弁当など。介護食に対応した事業者もあります

配食サービスは安否確認も兼ねます

手渡しが原則の事業者を選ぶと、それ自体が見守りになります。

応答がない、弁当が残っている。そこで異変に気づける仕組みです。

自治体の配食は低額または無料の場合があります。窓口は市区町村の高齢者福祉担当課か地域包括支援センターです。

一人暮らしの見守りについては、こちらの記事にまとめました。

噛む力が落ちている場合の選択肢

自治体の配食が使えない、または内容が合わない場合、民間の宅配を組み合わせる方法があります。

とくに「食べられない」が理由のときは、食事の形態を選べるかが重要になります。 普通の弁当では、噛めない・飲み込めない人には合いません。

冷凍弁当の宅配(健康直球便)

1999年から高齢者向けの配食を手がけている事業者が、冷凍弁当の通販を行っています。電子レンジで温めるだけです。

状態に合わせて、次のような種類から選べます。

  • やわらか食(噛む力が弱くなった方向け)
  • ムース食(やわらか食よりさらに噛む力・飲み込む力が弱い方向け)
  • 消化にやさしい食
  • たんぱく・塩分調整食(腎臓病などで制限がある方)
  • カロリー・塩分調整食(高血圧、糖尿病などの方)

定期購入ではないので、必要なときだけ頼めます。 冷凍なので賞味期限に余裕があり、まとめて置いておける点も、一人暮らしの親には向きます。

高評価全品★4.5以上 便利な冷凍弁当【健康直球便】



※持病による食事制限がある場合は、注文前に主治医または管理栄養士にご確認ください。制限の内容によって、選ぶべき種類が変わります。
※本人が食べられるかどうかは、少量から試すのが確実です。まず5食セットで様子を見る方法があります。
※自治体の配食サービスのほうが安く済む場合があります。先にそちらを確認してください。



手順⑤ 管理栄養士に来てもらう

この制度は、あまり知られていません。

介護保険に居宅療養管理指導というサービスがあり、その一つとして管理栄養士が自宅を訪問します。

項目 内容
対象 通院が困難な要介護認定を受けた方
条件 医師が「低栄養状態にある」と判断した場合、または特別食が必要と認めた場合
内容 栄養ケア計画を作成し、家族に交付。30分以上の指導・助言
回数 月2回まで
費用 1回537単位。1割負担なら約537円

特別な病気がなくても、「低栄養状態」と医師が判断すれば使えます。

管理栄養士は、実際の食事内容を見て、その人の生活に合った形で提案します。本人の好みや習慣を踏まえるので、続けやすい。

かかりつけ医に管理栄養士がいなくても使えます

「うちの先生のところに栄養士はいない」と諦める必要はありません。

各都道府県の栄養士会に「栄養ケア・ステーション」があり、登録している管理栄養士が訪問してくれます。 医師からの依頼で動く仕組みです。

まず、かかりつけ医かケアマネジャーに相談してください。

「管理栄養士さんに来ていただくことはできますか?」

なお、2024年度の改定で、終末期や状態が急に悪化した場合には、医師の特別な指示により、30日間に限り2回追加できるようになりました。

手順⑥ 食べやすい環境を整える

制度以外に、家でできることもあります。

  • 一人で食べる時間を減らす(デイサービス、家族との食事、誰かと一緒に)
  • 食器を変える(軽いもの、持ちやすいもの、縁が立ち上がっているもの)
  • 一度に出す量を減らす(多いと圧迫感がある。少量を何回かに分ける)
  • 食卓を明るくする(暗いと食欲が落ちます)
  • 本人が好きだったものを出す

「食べなさい」と言わないでください

食べさせようとするほど、食事の時間が苦痛になります。

本人も「食べなければ」と思っています。 それでも食べられないから、この状態になっています。

責めても量は増えません。環境を変えるか、原因を取り除くほうが確実です。

栄養補助食品という手もある

一度にたくさん食べられない場合、少量で栄養が取れる市販の補助食品を使う方法があります。ドラッグストアや通販で買えます。

ただし、持病がある場合は医師に確認してください。 腎臓病や糖尿病があると、避けたほうがよい製品もあります。

誰に相談すればいいか

「最近食べなくなった」「体重が落ちた」という一言で足ります。 説明を用意する必要はありません。

相談先 できること
かかりつけ医 原因の特定、管理栄養士の指示
ケアマネジャー 配食・訪問介護・デイの調整
地域包括支援センター 要介護認定がなくても相談できます。無料
訪問看護 体重や食事の記録、医師への報告
歯科 義歯の調整、口の中の確認

要介護認定をまだ受けていない場合は、まず認定の申請から始まります。 結果が出るまで平均39日かかるので、早めに動いてください。詳しくは要介護認定の申請から結果が出るまでをご覧ください。

まとめ|切り分けてから動く

整理します。

  1. 体重を測る

    本人の申告より確実です。 半年で3〜4kg減っているなら受診を。

  2. 3つの理由に切り分ける

    作れない/食べられない/食べたくない。 好物を出して反応を見る。

  3. 受診する

    薬、便秘、義歯、嚥下。対応できる原因があります。

  4. 作らなくていい形にする

    配食、デイサービス、訪問介護。配食は安否確認も兼ねます。

  5. 管理栄養士に来てもらう

    月2回、1割負担で1回約537円。 医師の指示が要ります。

  6. 環境を整える

    一人で食べる時間を減らす。「食べなさい」と言わない。

「食べない」と聞くと、つい食事の内容を考えてしまいます。ただ、多くの場合、問題は献立ではありません。

作れないのか、食べられないのか、食べたくないのか。そこを切り分けるだけで、やるべきことがはっきりします。

そして、この状態は放っておくと確実に悪化します。 気づいた時点で動いてください。

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出典・参考

  • 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「高齢者の低栄養」(食事量の減少から活動量の低下、さらなる食欲低下という悪循環)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」居宅療養管理指導費(管理栄養士が行う場合/月2回まで、特別指示による30日間の追加)
  • 東京都「令和7年度 集団指導資料 介護保険法の居宅療養管理指導(管理栄養士が行う場合)」(栄養ケア計画の作成、おおむね3ヶ月ごとの栄養スクリーニング)
  • 公益社団法人日本栄養士会「栄養ケア・ステーション」(管理栄養士がいない診療所からの依頼に対応)
  • 厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」
  • 株式会社シニアライフクリエイト「健康直球便」(やわらか食・ムース食・各種調整食の区分、冷凍弁当の提供方式)

この記事の情報は2026年9月時点のものです。当サイトは医療機関ではなく、記載内容は診断や治療の判断に用いることを目的としていません。食事の内容や栄養補助食品の使用については、持病の有無によって注意点が異なります。必ず医師または管理栄養士にご相談ください。配食サービスの有無と費用は市区町村によって異なります。掲載している宅配サービスの内容と価格は、事業者の最新情報をご確認ください。

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