離れて暮らす親が心配なとき|まず確認する5つのこと

この記事の要点

  • 順番が大事。いきなり機器を買う前に、自治体の無料・低額サービスを確認する
  • 緊急通報装置は設置費用が無料の自治体が多い。配食は1食300〜700円程度
  • 相談先は親が住んでいる地域の地域包括支援センター。無料
  • 見守りは親を監視することではない。本人が納得しない仕組みは続かない
  • 公的サービスで足りない部分だけ、民間サービスで埋める

年末に帰省したら、冷蔵庫の中が空だった。電話の受け答えが少しかみ合わない。玄関に新聞がたまっていた。

離れて暮らす親のことが急に心配になるのは、たいてい何かを見てしまったときです。

そこで多くの人が、まず見守りカメラやセンサーを検索します。ただ、その前に確認したほうがいいことがあります。順番を間違えると、お金をかけたのに肝心なときに役に立たない、ということが起こります。

この記事では、確認する順番を整理します。

目次

1. 本人の状態を、具体的に書き出す

「なんとなく心配」のままでは、誰にも相談できません。事実を書き出すところから始めます。

見るべきポイント

家の中 – 冷蔵庫の中身(古いものが残っていないか) – ゴミが出せているか – 郵便物や新聞がたまっていないか – 同じものを大量に買っていないか

本人の様子 – 服装が季節に合っているか、同じ服が続いていないか – 入浴していそうか – 転んだ跡(あざ、家具の位置の変化)はないか – 薬が飲めているか(残薬が多くないか)

会話 – 同じ話を繰り返さないか – 日付や曜日があいまいでないか – 最近会った人の名前が出てくるか

書き方のコツ

「できない」ではなく、いつ、何が、どのくらいを書いてください。

  • ✕「片付けができていない」
  • ○「台所に3週間前の総菜が残っていた。ゴミ袋が5つ玄関にあった」

この記録は、後で地域包括支援センターに相談するときにも、要介護認定の調査でも使えます。スマホのメモで構いません。

2. 地域包括支援センターに相談する

次にやることは、機器を買うことではありません。相談です。

地域包括支援センターは、市区町村が設置している公的な相談窓口です。相談は無料で、家族だけでも、本人が同席しなくても使えます。

なぜ最初に相談するのか

理由は3つあります。

その地域で使えるサービスを教えてもらえる。 見守りの制度は自治体ごとに違います。ネットで調べても、親の住む自治体に何があるかはわかりません。

専門職が状態を判断してくれる。 保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーがいます。「これは受診が必要か」「介護保険の申請をすべきか」を相談できます。

継続して関わってもらえる。 一度きりの相談ではありません。

どこに相談するか

親が住んでいる市区町村のセンターです。あなたの住所地ではありません。

「(親の市区町村名) 地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の窓口に電話すれば、担当のセンターを教えてもらえます。

電話でも相談できます。帰省のタイミングに合わせて訪問するのが理想ですが、まずは電話で構いません。

詳しくはこちらの記事にまとめています。

  • 地域包括支援センターとは|何を相談できるのか

3. 自治体の見守りサービスを確認する

ここを飛ばして民間サービスを契約する人が多いのですが、順番が逆です。

多くの自治体に、無料または低額の見守りの仕組みがあります。

緊急通報システム

自治体が高齢者宅に専用端末を貸与する仕組みです。

設置費用が無料の自治体が多く、ボタンを押すと消防や警備会社に通報されます。ペンダント型の子機を首から下げておけるものもあります。

室内センサーと連動し、一定時間動きがないと自動で通報されるタイプを導入している自治体もあります。近隣の協力者に連絡が入る仕組みを併用している例もあります。

配食サービス

1食あたり300〜700円程度の自治体が多くなっています。

栄養面の意味もありますが、配達員が毎回顔を見ることが見守りになります。手渡しを条件にしている自治体では、応答がない場合に連絡が入ります。

「食事は作れているから不要」と考えがちですが、週に数回でも人が訪ねる仕組みは、それ自体が価値です。

そのほか

  • 乳酸菌飲料などの定期配達による見守り
  • 電気・ガス・水道の使用量を見る仕組み
  • 郵便局員による訪問(有料のサービスもあります)
  • 自治体独自の見守り協定(新聞販売店、宅配業者などとの連携)

何があるかは自治体によって大きく違います。 地域包括支援センターに「見守りの仕組みで使えるものはありますか」と聞くのが早道です。

4. 近所とのつながりを確保する

機器では埋められない部分です。

連絡先を交換しておく

親の友人、近所の方、民生委員、町内会の役員。 誰か1人でも連絡先を知っているだけで、状況が変わります。

帰省したときに挨拶し、「何かあったら連絡をください」と伝えて、電話番号を渡しておいてください。

民生委員を知っておく

民生委員は、地域の高齢者の見守りを担う非常勤の地方公務員です。誰が担当かは、市区町村の福祉担当課や地域包括支援センターで教えてもらえます。

ケアマネジャーがいる場合

すでに要介護認定を受けてケアマネジャーがついているなら、定期的に連絡を取ってください。 電話やメールで構いません。

現場で本人を見ている人からの情報が、いちばん確かです。

5. 足りない部分を、民間サービスで埋める

ここまでやったうえで、残っている不安に絞って民間サービスを検討します。

民間サービスの主な種類

種類 向いている状況
センサー型(人感・電力・ドア) 生活の動きだけ知りたい。カメラは抵抗がある
カメラ型 転倒の確認など、様子を見たい
通報・駆けつけ型 緊急時に人が来てほしい
電話・訪問型 会話や人との接点を持たせたい

選ぶときの注意点

介護保険は使えません。 民間の見守りサービスは原則として全額自費です。ただし、自治体によっては緊急通報装置や配食に助成があります。

駆けつけには追加料金がかかることが多いです。月額料金に含まれるのか、1回いくらなのかを確認してください。

親が使えるかどうかが最大の分かれ目です。ボタンを押す必要があるものは、押せない状況では機能しません。

最も大事なこと:監視にならないように

見守りの話で見落とされがちなのが、本人の気持ちです。

カメラを設置された高齢者が「見張られている」と感じ、電源を抜いてしまう。センサーを嫌がって使わなくなる。こうしたことは実際によく起こります。

本人に説明してから入れる

黙って設置しないでください。続かないうえに、信頼関係を損ないます。

伝え方の例を挙げます。

「私が心配で眠れないから、お守りとして置かせてほしい」

本人のためではなく、自分の不安のためだと伝える。 これが受け入れられやすい形です。

完全に把握しようとしない

すべてを知ろうとすると、親の生活は監視下に置かれます。

知りたいのは「今日も無事か」だけのはずです。何時に起きて何を食べたかまで見られる仕組みは、多くの場合やりすぎです。

距離があることは、悪いことではありません。 適度な距離があるから、お互いに気楽でいられる面もあります。

まずやること

  1. 見たことを書き出す(今日できます)
  2. 親の住む地域の地域包括支援センターに電話する(無料)
  3. 自治体の見守りサービスを聞く
  4. 足りない部分を民間サービスで埋める

2番目まで進めば、あとは相手が案内してくれます。

心配なまま何もできずにいるのが、いちばんつらい状態です。電話1本で、状況は動き始めます。

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出典・参考

  • 厚生労働省「地域包括ケアシステム」
  • 各自治体の高齢者見守り事業の案内

この記事の情報は2026年8月時点のものです。見守りサービスの内容・費用・助成は自治体により大きく異なります。詳しくはお住まいの市区町村または地域包括支援センターにご確認ください。

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