この記事の要点
- 振り込まれるのは、休業が終わったあと。 休業中には支払われません
- 休業開始から入金まで、最短でも3〜4ヶ月かかります
- その間は無収入になります。生活費の準備が要ります
- 給付率は約67%。ただし社会保険料は免除されないので、手取りは月給の約5割です
- 申請期限は休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末。過ぎると受け取れません
最終更新:2026年8月25日(2026年8月1日の支給限度額改定を反映)
介護休業を取ることにした。給付金が出ると聞いたけれど、そのお金はいつ入るのか?
休んでいる間の生活があるので、ここははっきりさせておきたいところです。結論から書きます。
振り込まれるのは休業が終わったあと
介護休業給付金は、休業中には支払われません。
ここが育児休業給付金と大きく違う点です。育児休業給付金は2ヶ月ごとに申請して随時振り込まれますが、介護休業給付金は休業が終わってから、まとめて申請します。
時系列にすると、こうなります。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 休業開始 | 給与が止まる。給付金はまだ入らない |
| 休業中(最大93日) | 無収入の期間 |
| 休業終了 | ここから申請の準備 |
| 申請(終了日の翌日から2ヶ月後の月末まで) | 会社経由でハローワークへ |
| 審査 | 支給決定通知書が届く |
| 振込 | 支給決定からおおむね1〜2週間 |
休業開始から入金まで、最短でも3〜4ヶ月
実際に数えてみます。93日(約3ヶ月)の休業を取った場合です。
| 期間 | 日数の目安 |
|---|---|
| 休業期間 | 約3ヶ月 |
| 休業終了から申請まで | 数日〜数週間(会社の準備による) |
| 申請から支給決定まで | 数週間 |
| 支給決定から振込まで | 1〜2週間 |
| 合計 | 最短でも3〜4ヶ月 |
会社の手続きが遅れれば、さらに延びます。「休業を始めたら翌月から入る」ということはありません。
その間、社会保険料は払い続けます
無収入なのに支出はあります。介護休業中は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されません。 育児休業とはここが違います。
給与が出ないので天引きできず、会社が立て替えて後日請求される形が一般的です。 休業明けの給与から数ヶ月分がまとめて引かれることもあります。
住民税も前年の所得で決まるので、休業中も減りません。支払い方法は、休業前に人事へ確認してください。
短く区切って、早めに受け取る方法
93日は3回まで分割できます。 そして、1回の休業が終わるごとに申請できます。
つまり、こうすると入金が早まります。
| 93日を1回で使う | 30日ずつ3回に分ける | |
|---|---|---|
| 1回目の入金 | 約3〜4ヶ月後 | 約2ヶ月後 |
| 無収入の期間 | 長い | 短い |
| 手続きの回数 | 1回 | 3回 |
手続きの手間は増えますが、生活費の見通しは立てやすくなります。
そもそも93日は、入院・退院の時期、施設探しの時期、入居手続きの時期と、山場ごとに分けて使うほうが実際的です。 資金の面からも、分割には意味があります。
いくらもらえるのか
計算式
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
休業開始時賃金日額は、休業前6ヶ月の賃金の総額を180で割った金額です。ここでいう賃金には残業代や通勤手当は含まれますが、賞与は含まれません。
月給30万円なら93日で約62万円
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 賃金日額 | 30万円 × 6ヶ月 ÷ 180 | 10,000円 |
| 給付額(93日) | 10,000円 × 93日 × 67% | 623,100円 |
| 1ヶ月あたり | 10,000円 × 30日 × 67% | 201,000円 |
手取りは月給のおよそ5割
給付金は非課税です。 所得税も住民税もかかりません。
ただし、先ほど書いたとおり社会保険料は免除されません。 差し引くとこうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月給 | 300,000円 |
| 給付金(67%) | 201,000円 |
| 健康保険料(本人負担・概算) | −15,000円 |
| 厚生年金保険料(本人負担) | −27,450円 |
| 差引 | 約158,550円 |
月給に対して約53%。 保険料率は加入する保険者や都道府県で変わるため金額は目安ですが、「67%もらえる」と「手取りが67%になる」は違うという構造は共通です。
上限額(2026年8月1日改定)
賃金日額と支給額には上限があり、毎年8月1日に改定されます。
| 項目 | 2026年7月まで | 2026年8月から |
|---|---|---|
| 支給限度額(1ヶ月あたりの上限) | 356,574円 | 366,222円 |
| 休業開始時賃金月額の上限 | 532,200円 | 546,600円 |
| 休業開始時賃金月額の下限 | 90,420円 | 96,090円 |
賃金月額が上限の546,600円を超える方は、546,600円として計算されます。その場合の支給額が、月366,222円です。
逆に、賃金月額が下限の96,090円を下回る方は、96,090円として計算されます。実際の賃金より高い額で計算されるので、下限は有利に働きます。
休業中に働くとどうなるか
支給単位期間(1ヶ月)ごとに、就業日数が10日以下であることが条件です。
また、その期間に会社から賃金が支払われた場合、その額が「賃金日額×支給日数」の13%を超えると給付金が減額され、80%以上になると支給されません。
誰がもらえるのか
次の3つをすべて満たす人が対象です。
1. 雇用保険に入っていること
会社員、契約社員、パート・アルバイトを問いません。雇用保険の被保険者であればOKです。自営業やフリーランスの方は対象外になります。
2. 休業開始前2年間に、12ヶ月以上働いていること
正確には「賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月」が12ヶ月以上あることが条件です。転職した場合でも、前の会社の期間を通算できることがあります。
有期契約の方は、介護休業の開始予定日から93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに、契約が満了することが明らかでないことが条件に加わります。
3. 対象家族を介護すること
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母、子
- 配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹、孫
同居していなくても、扶養していなくても対象になります。
要介護認定がなくても申請できる
ここは誤解が多いところです。
介護休業の条件は「常時介護を必要とする状態」であることで、要介護認定を受けていることではありません。厚生労働省が判断基準を示しており、要介護2以上であればおおむね該当しますが、それ未満でも状態によっては認められます。
つまり、認定結果を待たずに会社に申し出ることができます。 認定には平均39日かかるので、この点は覚えておいてください。
申請の流れ
-
会社に申し出る(休業開始の2週間前まで)
介護休業を取りたい旨を、会社に申し出ます。法律上の期限は開始予定日の2週間前までです。
なお2025年4月から、労働者が介護に直面した旨を申し出た場合、会社には制度を個別に知らせ、取得の意向を確認する義務が課されています。相談したのに何の案内もない場合は、この点を伝えてみてください。切り出し方は会社に介護を伝えるタイミングと伝え方にまとめています。
-
会社が書類を準備する
申請は原則として会社(事業主)を経由して行います。本人がハローワークに行く必要は、通常ありません。
- 介護休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 介護休業申出書
- 対象家族との続柄がわかる書類(住民票記載事項証明書など)
- 賃金台帳、出勤簿、タイムカード(会社が用意)
本人が用意するのは、続柄を証明する書類と、給付金の振込先口座がわかるものくらいです。
-
休業が終わってから申請する
申請期限は、休業終了日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで。
例:6月15日に休業が終わった場合 → 8月31日まで
この期限を過ぎると受け取れません。会社が手続きを進めているか、確認しておいてください。
-
支給決定・振込
ハローワークでの審査を経て、支給決定通知書が届きます。振込までの期間はおおむね1〜2週間程度です。
介護休業と介護休暇は別の制度
混同したまま会社に相談すると、話が噛み合いません。
| 介護休業 | 介護休暇 | |
|---|---|---|
| 期間 | 対象家族1人につき通算93日 | 年5日(対象家族2人以上なら10日) |
| 分割 | 3回まで | 1日または時間単位 |
| お金 | 介護休業給付金の対象 | 給付金なし(会社の規定による) |
| 主な用途 | 介護の体制を整えるためのまとまった休み | 通院の付き添いなど、短時間の用事 |
この記事で扱っているのは「介護休業」のほうです。細かい違いは介護休暇と介護休業の違い|調べて驚いた4つのことにまとめました。
介護休業は「自分がつきっきりで介護するための休み」ではありません。介護の体制を整えるための準備期間として設計されています。ケアマネジャーを探し、施設を見学し、手続きを進める。そのための93日です。
つまずきやすいポイント
会社が制度を知らないことがある
介護休業は取得率が低く、社内で前例がないケースが少なくありません。会社の担当者が手続きに不慣れな場合は、ハローワークに直接相談すると、必要書類を教えてもらえます。
両親それぞれに93日ある
「対象家族1人につき」なので、父に93日、母に93日と、別々に取得できます。
93日を使い切る前に、他の制度も見る
休まずに働き方を変える制度もあります。特に所定外労働の制限(残業免除)は、介護が終わるまで期間の制限がなく、基本給も減りません。
詳しくは介護と仕事を辞めずに続ける|働き方を変える5つの制度をご覧ください。
迷ったときの相談先
- 手続きのこと → 勤務先の人事・総務、または最寄りのハローワーク
- 介護そのもののこと → お住まいの地域の地域包括支援センター
介護休業を取るかどうかを決める前に、まず地域包括支援センターに相談することをおすすめします。使える介護サービスを組み合わせれば、休業せずに済むケースもあります。93日という時間は限られた資源なので、どこで使うかを決めてから取ったほうが、確実に効きます。
休業のあいだに、実際にいくらかかるのか。介護にかかるお金の総額で、在宅と施設それぞれの目安を出しています。
関連記事
出典・参考
- 厚生労働省「介護休業給付の内容と支給申請手続」
- 厚生労働省「令和8年8月1日から支給限度額が変更になります」(2026年8月/支給限度額366,222円、賃金月額の上限546,600円・下限96,090円)
- 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(2025年4月施行分を含む)
- 雇用保険法第61条の4/健康保険法・厚生年金保険法(育児休業等期間中の保険料免除。介護休業は対象外)
本記事は2026年8月時点の制度に基づいています。振込までの期間は、会社の手続きの進み方やハローワークの審査状況によって変わります。金額や要件は改定されることがあります。社会保険料の試算は概算で、保険料率は加入する保険者や都道府県によって異なります。実際の手続きの際は、必ず厚生労働省またはハローワークの最新情報をご確認ください。

