小規模多機能型居宅介護とは|調べて驚いた4つのこと

この記事の要点

  • 通い・訪問・泊まりを1つの事業所で、月額定額で使えます
  • 要介護3なら月22,359円(1割負担)。何回使っても同じ金額です
  • ただしケアマネジャーが強制的に変わります。事業所専属になります
  • 訪問介護やデイサービスとは併用できません
  • 国自身が「知られていない」と認めているサービスです

在宅で介護をしていると、こういう状況になります。

デイサービスは週2回。でも、それ以外の日も心配。急に熱を出したときに預かってほしい。夜に様子を見に来てほしい。そのたびに、別々の事業所に連絡して調整する。

この面倒をまとめて引き受ける仕組みがありました。小規模多機能型居宅介護です。

ただ、あまり知られていません。調べていて驚いた点を4つ書きます。

目次

驚いた事① 通い・訪問・泊まりが月額定額

このサービスは、3つを1つの事業所で提供します。

種類内容近いサービス
通い日中、事業所で過ごす。食事・入浴・機能訓練デイサービス
訪問自宅に来てもらう。介助や見守り訪問介護
泊まり事業所に宿泊するショートステイ

そして、費用は月額の定額制です。 要介護度で決まっていて、何回使っても金額は変わりません。

要介護度1割負担・1ヶ月あたり
要支援13,450円
要支援26,972円
要介護110,458円
要介護215,370円
要介護322,359円
要介護424,677円
要介護527,209円

※事業所と同一の建物に住んでいる場合は、これより低い金額になります。2割負担なら倍、3割なら3倍です。

ここに食費、宿泊費、おむつ代などが別途かかります。 加算がつく場合もあります。

要支援1・2でも使えます

「要支援は対象外」と書かれている記事がありますが、厚生労働省の公表システムには要支援1・2の料金が明記されています。

正式には「介護予防小規模多機能型居宅介護」という名称で提供されます。

定額であることの意味

状態が変わりやすい人にとって、これは大きい。

普通なら、デイサービスを増やせば費用が増え、ショートステイを使えばまた増えます。限度額を気にしながら組み立てることになります。

小規模多機能なら、「今週は調子が悪いから毎日通う」「今月は泊まりを増やす」といった調整が、費用を気にせずできます。

ただし、無制限ではありません。定員があります。

定員
登録定員29人以下
通い(1日あたり)登録定員の2分の1〜18人以下
泊まり(1日あたり)通いの定員の3分の1〜9人以下

特に泊まりは9人以下です。 希望が重なれば使えない日もあります。ここは事前に確認してください。

驚いた事② ケアマネジャーが強制的に変わる

ここが最大の注意点です。

小規模多機能を使うと、その事業所に所属するケアマネジャーに担当が変わります。 選べません。

いま担当してもらっているケアマネジャーが、どれだけ信頼できる人でも、変更になります。

これは他の介護サービスにはないルールです

訪問介護やデイサービスは、事業所を変えてもケアマネジャーは変わりません。小規模多機能だけが、事業所とケアマネジャーがセットになっています。

通い・訪問・泊まりを一体で計画するには、同じ事業所のケアマネジャーが担当したほうが早い。制度としてはそういう設計です。

ただ、長く付き合ってきたケアマネジャーがいる場合、この変更は小さくありません。

ケアマネジャーの変更については、こちらの記事にまとめました。

驚いた事③ 他のサービスと併用できない

月額定額の裏返しです。内容が重複するサービスは、原則として併用できません。

併用できないもの併用できるもの
訪問介護訪問看護
通所介護(デイサービス)訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション(デイケア)居宅療養管理指導
ショートステイ福祉用具貸与
訪問入浴介護住宅改修
定期巡回・随時対応型訪問介護看護

福祉用具と住宅改修は使えます。 ここは押さえておいてください。介護ベッドや手すりは、これまでどおり利用できます。

詳しくは福祉用具のレンタルと購入と住宅改修20万円の使い方をご覧ください。

訪問看護が必要なら、看多機という選択肢も

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)という、訪問看護が加わった形もあります。2012年に制度化されました。

要介護度1割負担・1ヶ月あたり
要介護112,447円
要介護324,481円
要介護531,408円

小規模多機能より少し高くなりますが、医療依存度の高い方、退院直後で状態が不安定な方、在宅での看取りを希望する方に対応できます。

小規模多機能では受け入れが難しかった層をカバーするために作られた仕組みです。

驚いた事④ 国自身が「知られていない」と認めている

2026年5月の社会保障審議会介護給付費分科会の資料に、こう書かれていました。

小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の地域密着型サービスについては、要介護者の在宅生活を支える重要な機能を有しているにもかかわらず、サービスに対する認知度や理解度が不十分なことにより、事業所が存在しない市町村も多くある

国が、自ら課題として挙げています。

2006年にできた制度なので、20年経っています。それでも普及していない。

近隣の市区町村で使える可能性もあります

小規模多機能は地域密着型サービスなので、原則として住民票のある市区町村の事業所しか使えません。グループホームと同じ仕組みです。

ただ、同じ資料にこうあります。

市町村内での整備の推進のみならず、都道府県と連携を図りつつ、広域利用に関する事前同意等の調整を行うなど隣接自治体間の連携による活用推進の視点も重要

自治体間の調整により、隣の市区町村の事業所を使える場合があります。 グループホームより柔軟な運用が想定されています。

お住まいの市区町村に事業所がない場合、諦める前に聞いてみてください。

「市内に小規模多機能の事業所がないのですが、隣の市の事業所を使うことはできますか?」

向いている場合と向いていない場合

正直に整理します。

向いている場合

  • 状態が変わりやすく、必要なサービス量が読めない
  • 認知症があり、環境や職員が変わることに弱い
  • 急に預かってほしい場面がある(介護者の体調不良、急な用事)
  • デイ・訪問・ショートを別々に調整するのが負担
  • すでに複数のサービスを組み合わせていて、限度額が厳しい

向いていない場合

  • サービスの利用回数が少ない(定額のぶん、個別契約より割高になります)
  • いまのケアマネジャーを変えたくない
  • 通っているデイサービスに愛着があり、変えたくない
  • 特定の事業所のサービス内容にこだわりがある
  • 住民票のある市区町村に事業所がない

使う回数が少ないなら、割高になります

月額定額なので、週1回のデイサービスだけなら、個別に契約したほうが安く済みます。

目安として、週4回以上のサービス利用が想定されているかを考えてください。厚生労働省の解釈通知でも、週4回以上のサービス提供が前提とされています。

使うまでの流れ

  1. ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談

    まずお住まいの市区町村に事業所があるかを確認してください。ない市町村も多くあります。

    窓口は地域包括支援センターか、市区町村の介護保険担当課です。

  2. 見学する

    泊まりの部屋は必ず見てください。 定員9人以下なので、環境は事業所ごとにかなり違います。

    あわせて聞くこと。

    「泊まりが使えない日はどれくらいありますか?」
    「訪問はどれくらいの頻度で来てもらえますか?」
    「食費と宿泊費は、それぞれいくらですか?」

  3. ケアマネジャーの引き継ぎ

    現在のケアマネジャーから、事業所のケアマネジャーへ引き継ぎます。これまでの経過を伝えてもらうよう、依頼してください。

  4. 契約・利用開始

    登録定員29人以下なので、空きがない場合は待つことになります。

まとめ|在宅を続けるための選択肢

整理します。

  • 通い・訪問・泊まりを1つの事業所で、月額定額
  • 要介護3で月22,359円(1割負担)。何回使っても同じ
  • ケアマネジャーは事業所専属に変わる
  • 訪問介護・デイ・ショートとは併用不可。福祉用具と住宅改修は使える
  • 週4回以上使う見込みがないなら、割高になる

このサービスが向くのは、「状態が読めない人」だと思います。

今日は元気でも、明日は起きられないかもしれない。そういう状態のとき、回数を気にせず調整できることに価値があります。

そして、在宅の限界を感じ始めた段階で、施設に移る前の選択肢になり得ます。介護者が休む手段としても機能します。

ただ、事業所がない市町村も多い。まず「うちの市にありますか」と聞くところからです。

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出典・参考

  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護(1割負担・1ヶ月あたりの利用者負担額)
  • 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料1(2026年5月25日/地域密着型サービスの認知度・理解度、広域利用に関する自治体間連携)
  • 介護保険法 第8条第19項(小規模多機能型居宅介護)/第8条第23項(看護小規模多機能型居宅介護)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(登録定員29人以下、通い18人以下、泊まり9人以下)

この記事の情報は2026年8月時点のものです。利用者負担額は事業所の規模、加算、地域区分によって変わります。食費・宿泊費は事業所が独自に設定します。事業所の有無と広域利用の可否は、お住まいの市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

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