この記事の要点
- 国のシステムで、全国8,316件のサ高住が無料公開されています(2026年8月時点)
- 費用で絞るとき、初期状態は家賃だけ。3つのチェックを入れないと数万円ずれます
- 「夜間も職員が常駐」はチェック1つで絞れます
- 医療対応と看取りは「実績あり」と「実績なし」が分かれています
- 介護度の欄は入居可能な介護度ではなく、今住んでいる人の介護度です
見学は平日の日中です。仕事をしながら、何件も回れるものではありません。
ところが、資料を取り寄せた段階では、どれも良さそうに見えます。パンフレットは事業者が見せたい部分を選んで作っているので、当然です。夜間に職員がいない建物も、部屋に風呂がない建物も、写真だけでは区別がつきません。
その絞り込みを、自宅で先に済ませられます。国土交通省の「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」です。登録されたサ高住は、法律で情報の公開が義務づけられています。事業者が広告で強調したい部分だけを見せる形にはなっていません。
ただ、このシステムには使い方のコツがあります。特に費用の欄には、知らないと結果が数万円ずれる設定があります。順に見ていきます。
まず、どこにあるか
検索ページはここです。
会員登録も、個人情報の入力も要りません。資料請求をしなくても、料金や設備を見られます。
2026年8月時点の登録は、全国で8,316件・291,089戸。都道府県別の件数も出ています。参考までに、上位と下位を挙げます。
| 都道府県 | 登録件数 |
|---|---|
| 大阪府 | 857件 |
| 北海道 | 527件 |
| 兵庫県 | 483件 |
| 埼玉県 | 477件 |
| 東京都 | 422件 |
| (中略) | |
| 高知県 | 37件 |
| 宮崎県 | 26件 |
| 佐賀県 | 20件 |
地域差がかなり大きい。 選択肢が20件しかない県と、857件ある府があります。お住まいの地域の件数を先に見ておくと、どこまで条件を絞れるかの見当がつきます。
費用の欄には、チェックボックスが3つ隠れている
ここが最も重要です。先に書きます。
「月額費用:賃貸」という欄で金額の範囲を指定できます。ただし初期状態で検索されるのは、家賃だけです。
欄の右側に、小さなチェックボックスが3つあります。
- 共益費を含む
- 基本サービス料を含む
- 食費を含む
3つとも入れてください
チェックを入れないまま「上限10万円」で検索すると、家賃が10万円以下の住宅が出てきます。そこに共益費・サービス料・食費が上乗せされるので、実際の請求額は15万円前後になることもあります。
3つにチェックを入れれば、それらを合計した額で絞り込まれます。 こちらが実際に近い数字です。
サ高住の月額費用の全国平均は11.0万円ですが、これも家賃・共益費・必須サービス費だけの数字で、食費が入っていません。「平均11万円」と「実際に払う額」がずれる原因は、ここにあります。
入居時費用の欄もあります。サ高住は権利金を受け取れない決まりなので、ここに出るのは主に敷金です。有料老人ホームのような数百万円の一時金は、原則としてありません。
夜間の常駐は、チェック1つで絞れる
「サービス」の欄に、「夜間も職員が常駐」というチェックボックスがあります。
サ高住の登録基準では、安否確認と生活相談を「少なくとも日中は常駐して」提供することが求められています。夜間の常駐は必須ではありません。実際、24.1%のサ高住は日中のみの常駐です。
4棟に1棟は、夜に人がいない。パンフレットの「24時間安心のサポート体制」という表現では、緊急通報システムのことなのか、人がいることなのか区別がつきません。このチェックボックスなら、はっきり分かれます。
同じ欄に、食事に関する項目もあります。
- 朝食あり/昼食あり/夕食あり
- 建物内で調理/配食サービスあり
後者の2つは意外に見落とされます。同じ「食事提供あり」でも、建物の中で作っているのか、外から運ばれてくるのかは別の話です。 温かさも、食形態への対応も変わります。
部屋の設備は「その他の検索条件」の中
「+ さらに条件を追加」を開くと、居室の設備で絞れます。
| 設備 | 指定できる場所 |
|---|---|
| トイレ | (必須設備) |
| 洗面設備 | (必須設備) |
| 風呂 | 居室内/共用部 |
| キッチン | 居室内/共用部 |
| 収納 | 居室内/共用部 |
風呂の「居室内」にチェックを入れると、候補が大きく減ります。 部屋に浴室があるサ高住は20.2%しかないためです。
減ったからといって、条件が悪いわけではありません。共同浴室でも構わないなら外せばいい。自宅で毎日湯船に入っていた方なら、ここは譲れない条件かもしれません。 見学に行く前に、この判断を済ませておくと迷いません。
住戸面積も18㎡から40㎡まで指定できます。平均は21.9㎡、25㎡未満が78.7%です。
医療対応は「実績あり」と「実績なし」が分かれている
このシステムで、いちばん誠実だと感じた部分です。
医療的なケアへの対応が14項目に分かれていて、それぞれ3段階で登録されています。
| 選択肢 | 意味 |
|---|---|
| 対応可(実績あり) | 実際に受け入れた実績がある |
| 対応可(実績なし) | 制度上は可能だが、実績はない |
| 対応なし | 受け入れていない |
項目は、たん吸引、胃ろう、人工透析、在宅酸素療法、インスリン、経管栄養、カテーテル、ストーマ、気管切開、ペースメーカー、褥瘡、ALS、IVH、重度認知症対応の14です。
「対応できます」と「やったことがあります」は違う。 見学で聞いても、多くの場合は前者の答えが返ってきます。このシステムは、それを分けて登録させています。
看取りへの対応も、同じ3段階です。最期までを希望するなら、ここを「実績あり」で絞ってください。
ただし、実績があっても入居できるとは限りません
システム上にも注意書きがあります。各項目は入居受入実績の有無を示すもので、確実に入居できることを意味しません。最終的には個別の相談になります。 ここで絞るのは、見学先を選ぶためです。
介護度の欄は、入居条件ではない
読み間違えやすい項目があるので、先に書いておきます。
「介護度」という条件で、自立・要支援・要介護1,2・要介護3,4,5が選べます。これを「入居できる介護度」だと思うと、間違えます。
システムの注意書きにこうあります。入居可能な介護度ではなく、現入居者の介護度のデータベースであると。
つまり「要介護3,4,5」で絞ると、重度の方が現に住んでいる住宅が出てきます。受け入れ体制がある可能性は高いですが、空きがあるかどうかとは別の話です。
同じ欄に、介護サービスの提供体制もあります。
- 特定施設の指定を受けている(施設の職員が介護を提供する「介護型」。全体の10.0%)
- 併設介護事業所あり
- 連携介護事業所あり
ここは、サ高住と有料老人ホームの違いを見分ける6つの手順で書いた最初の分岐点にあたります。介護型を探しているなら、ここにチェックを入れてください。
「運営情報を公開している」で、さらに絞れる
基本条件の下のほうに、この項目があります。
サ高住の登録事項は法律で決まっていますが、それに加えて運営情報を任意で公開している事業者があります。入居者の状況、職員体制、医療連携などの詳細です。
チェックを入れると、公開している住宅だけに絞れます。件数は減ります。ただ、情報開示に積極的な事業者を先に見るという考え方は、合理的だと思います。
なお、医療対応や看取りの条件で絞る場合、運営情報を入力している住宅しか抽出されません。この点はシステム上にも明記されています。
絞り込んだあとに、確認すること
ここまでで候補が数件に減っているはずです。最後に注意点を3つ。
登録情報は事業者の申告
行政が現地で確認した数字ではありません。更新のタイミングによっては、実態とずれていることがあります。最終確認は重要事項説明書で行ってください。
空室状況はわからない
このシステムに空室情報はありません。条件が合っても満室のことがあります。電話で確認するのが早いです。
見学は2〜3件に絞る
仕事の合間に何件も回るのは現実的ではありません。ここで条件を詰めておけば、見学は2〜3件で足ります。 当日に何を聞くかは、見学で必ず聞くべき12の質問にまとめています。
まとめ|迷っている方へ
このシステムで確認できることを、もう一度並べます。
- 費用(3つのチェックを入れて、合計額で絞る)
- 夜間の常駐の有無
- 居室の風呂・キッチン・面積
- 特定施設かどうか(介護型か一般型か)
- 医療対応と看取り(実績ありで絞れる)
- 食事が建物内調理か配食か
紹介サービスを使う場合でも、先にここを見ておくと会話が変わります。 「夜間常駐があって、部屋に風呂があるところ」と条件を伝えられるからです。担当者に条件を組み立ててもらうより、自分で決めた条件を渡すほうが早く進みます。
そして、住まいを移すこと自体を迷っているなら、その相談は地域包括支援センターが窓口です。無料で、施設の紹介を目的としていません。
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出典・参考
- 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」検索画面および登録件数(2026年8月時点:8,316件・291,089戸)
- 一般社団法人高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和7年8月末時点)」(夜間常駐75.9%、居室内浴室20.2%、平均21.9㎡、特定施設10.0%)
- 高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)に基づく登録事項
この記事の情報は2026年8月時点のものです。登録件数は日々更新されます。システムの画面構成や項目名は変更される場合があります。登録情報は事業者の申告に基づくため、契約前には必ず重要事項説明書でご確認ください。

