要介護認定に納得できないとき|審査請求と区分変更の選び方

この記事の要点

  • 認定結果に納得できないときの主な方法は「審査請求」と「区分変更申請」の2つです
  • 審査請求の期限は処分を知った日の翌日から3ヶ月以内です
  • 審査請求をしても、裁決で取り消されるまでは元の要介護度のままです
  • 審査会は独自に認定をやり直すわけではありません。取り消されたあと、市区町村がやり直します
  • どちらを選ぶ前にも、まず結果の理由を確かめることが出発点です

要介護認定の結果が届いた。思っていたより軽い。

毎日これだけ手がかかっているのに、なぜこの結果なのか。このままでは必要なサービスが使えない。

結果に納得できないとき、やり直しを求める方法はあります。 ただ、方法によって期限も、かかる時間も、結果の出方も違います。よくある疑問に答える形で整理します。

目次

納得できないときにできること

主な方法は2つです。そして「何もしない」も選択肢に入ります。

方法内容
審査請求都道府県の介護保険審査会に、市区町村が行った認定という処分が違法・不当でないかを審査してもらう
区分変更申請心身の状態や介護の手間が変化した場合に、市区町村に改めて認定をしてもらう
更新申請有効期間の終了に伴い、改めて認定を受ける。残りが少ないなら、更新を待つ選択肢も

審査請求は、介護保険法第183条にもとづく手続きです。

審査請求と区分変更の違い

この2つは、目的が違います。

審査請求区分変更申請
問うこと前の認定処分が適切だったか状態が変化し、いまの介護度とは違う区分に該当するか
提出先都道府県の介護保険審査会
※市区町村の窓口で受け付ける場合もあります
市区町村
申請の時期処分を知った日の翌日から3ヶ月以内状態が変化した場合は、有効期間中でも申請可能
結果が出るまで数ヶ月かかることがある原則30日以内
※延期される場合あり
結果認められれば処分が取り消され、市区町村がやり直す新たな要介護度が決まる

選ぶ目安

現在の心身の状態や介護の手間が変化しており、いまの要介護度と実態が合っていないと考える場合は、区分変更申請を検討します。

「調査や判定の手続きそのものに問題があった」と考える場合は、審査請求を検討します。たとえば、調査の内容が事実と大きく違う、必要な手続きが行われていないと思われる、といった場合です。

どちらがよいかは状況によって変わります。迷ったら、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してください。

審査請求の期限

ここは厳密に確認してください。

  • 原則:処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内
  • ただし、処分があった日の翌日から1年を過ぎると、3ヶ月以内でも請求できません

「処分があったことを知った日」は、一般に認定結果の通知を受け取った日です。

正当な理由なく期間を過ぎると、審査請求は却下されます。 迷っているうちに期限が来ることがあるので、通知を受け取った日付は控えておいてください。

審査請求は、原則として処分を受けた本人が行います。 本人の委任があれば、代理人が手続きをすることもできます。

審査請求の結果が出るまでの介護度

これが、いちばん誤解されやすい点です。

審査請求をしても、審査会が認容の裁決を出し、市区町村が処分をやり直すまでは、元の要介護度のままです。

たとえば要支援2と認定され、それを不服として審査請求をした場合、結論が出るまでの数ヶ月間も、要支援2として扱われます。 その間のサービスも、要支援2の範囲で組むことになります。

「請求したから介護度が上がる」わけではありません

審査請求は、結論が出るまで時間がかかります。 その間の生活をどう支えるかは、別に考える必要があります。

いまサービスが足りなくて困っているなら、ケアマネジャーに、現在の介護度の範囲でできることを相談してください。

審査請求が認められたら

ここも、誤解の多い点です。

審査会は、処分に違法または不当な点があると認めた場合、その処分を取り消します。 そのあと、市区町村が改めて認定をやり直します。

審査会が「要介護3が正しい」と独自に決めるわけではありません。

裁決の種類意味
認容請求に理由がある。処分が取り消され、市区町村がやり直す
棄却請求に理由がない。元の認定のまま
却下期限切れなど、請求の要件を満たしていない

やり直しの結果、希望どおりの介護度になるとは限りません。

なお、認定の取り消しを求める裁判は、審査請求の裁決を経たあとでなければ起こせません。

区分変更申請の注意点

区分変更申請は、原則として申請から30日以内に認定されます。 ただし、30日以内に認定できない場合は、延期されることがあります。

そして、区分変更申請は、介護度を上げてもらうための申請ではありません。 状態の変化に合わせて、改めて認定を受ける手続きです。

  • 介護度が上がるとは限らない。変わらないことも、下がることもある
  • 区分変更後の認定有効期間は、原則6ヶ月(3〜12ヶ月の範囲で設定される場合があります)
  • 結果が出る前に想定より多くサービスを使うと、超過分が自己負担になる場合がある

3つ目はとくに注意が必要です。区分変更の結果は申請日にさかのぼって有効になるため、結果を見込んでサービスを増やす「暫定ケアプラン」が組まれることがあります。結果が想定より軽くなった場合、利用したサービスの量によっては、区分支給限度基準額を超えた部分が全額自己負担となる場合があります。

詳しくは区分変更申請は下がることもあるにまとめました。

まず結果の理由を確かめる

審査請求も区分変更も、その前にやっておきたいことがあります。

なぜその結果になったのかを知ることです。

認定の資料を確認する

多くの市区町村では、本人や家族が、認定調査票や主治医意見書などの認定資料の開示や提供を求められる仕組みがあります。

  • 認定調査票(調査員が記録した74項目の結果と特記事項)
  • 主治医意見書
  • 一次判定の結果

手続きの方法や、提供される範囲は市区町村によって異なります。 介護保険の担当窓口で聞いてください。

「認定結果の理由を知りたいのですが、認定調査票や主治医意見書を見せていただくことはできますか?」

資料を見ると、どこが実態と違っていたかが分かります。 特記事項に普段の困りごとが書かれていない、意見書に日常の様子が反映されていない、といった点です。原因が分かれば、次に何をすべきかが決まります。

認定調査の日にたまたま状態が良かった場合でも、普段の生活で必要としている介助や見守りについて、具体的に伝えることが大切です。

ケアマネジャーに相談する

ケアマネジャーは、認定の結果とケアプランの両方を見ています。

「認定結果が実態より軽いと感じています。区分変更と審査請求、どちらがいいでしょうか?」

有効期間の残りや、いまのサービスで足りない部分を踏まえて、選び方を一緒に考えてもらえます。

ケアマネジャーがまだいない場合は、地域包括支援センターに相談できます。

次の調査で伝えること

区分変更申請や更新申請を行うと、改めて認定調査が行われます。 その際は、普段の生活でどのような介助や見守りが必要なのかを、具体的に伝えることが大切です。

認定調査では、74項目の選択だけでなく、特記事項に記録される具体的な状況や介護の手間も重要です。 選択項目だけでは表しきれない状況を特記事項に記録し、その内容は二次判定で考慮されます。

大げさに伝えるのではなく、普段の状態を正確に伝えることが目的です。

  • 家族が同席する
  • 普段の困りごとをメモにして渡す(いつ・何が・どれくらいの手間か)
  • 本人が「できる」と言っても、実際の様子を補足する
  • 普段の生活でどのような介助や見守りが必要なのかを、具体的に伝える
  • 主治医の診察で、家での状態を伝えておく

具体的な伝え方は、認定調査で家族が伝えることにまとめました。

まとめ|理由を確かめてから選ぶ

  • 主な方法は審査請求と区分変更申請。次の更新を待つ選択肢もある
  • 審査請求の期限は処分を知った日の翌日から3ヶ月以内(処分から1年を過ぎると不可)
  • 審査請求中も元の介護度のまま
  • 認められても処分が取り消され、市区町村がやり直す。希望どおりになるとは限らない
  • 区分変更は状態が変化した場合の再認定。原則30日以内だが、下がることもある
  • どちらの前にも認定資料で理由を確かめる

認定結果が軽いと、自分たちの大変さを否定されたように感じることがあります。

ただ、結果は調査の日の様子と、書かれた記録から決まっています。記録に何が書かれていたかを確かめると、次にやるべきことが見えてきます。

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出典・参考

  • 介護保険法 第183条(審査請求)
  • 愛知県「介護保険に係る審査請求(不服申立て)について」(期限は処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内、処分のあった日の翌日から1年経過で不可、裁決で認容され処分がやり直されるまで元の要介護度のまま、審査請求前置主義、本人・代理人)
  • 神戸市「認定結果に不服がある場合」(裁決で取り消されるまでは処分は有効、書面を中心とした審理)
  • 東京都福祉局「介護保険の審査請求(不服申立て)」
  • 厚生労働省「認定調査員テキスト」(特記事項・主治医意見書の記載内容による二次判定での変更)

この記事の情報は2026年9月時点のものです。審査請求の提出方法、認定資料の開示の手続き、区分変更申請の運用は、都道府県・市区町村によって異なります。実際の手続きは、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、都道府県の介護保険審査会、または地域包括支援センターにご確認ください。

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