特養の多床室とユニット型|差額は所得段階で2.6倍の差!?

この記事の要点

  • 居住費の差は、所得段階で月1.35万円〜3.45万円。最大と最小で2.6倍ひらきます
  • 第2段階の方だけ、差が極端に小さくなります(月1.35万円)
  • 施設サービス費の差は要介護5でも1日84円。月2,520円だけです
  • 2026年8月1日から食費・居住費が改定。上がったのは第3段階①・②の方だけ
  • 負担限度額は申請しないと適用されません

特養の資料を取り寄せると、同じ施設なのに部屋のタイプで料金が並んでいます。多床室、従来型個室、ユニット型個室。金額はかなり違う。

「安いほうでいい」と考えるのが自然です。ただ、その差額がいくらになるかは、親の所得によって倍以上変わります。

調べていて意外だったのは、ある所得段階の方だけ、差が極端に小さくなることでした。以下、よくある疑問の形で書いていきます。数字はすべて2026年8月1日改定後のものです。

目次

費用は、何と何でできていますか

3つです。

  1. 施設サービス費(介護保険の対象。1〜3割負担)
  2. 居住費(部屋代と光熱費)
  3. 食費

このほかに、理美容代やおむつ代などの日常生活費がかかります。

居室のタイプで変わるのは1と2です。そして差の大半は、2の居住費から出ています。

施設サービス費は、どれくらい違いますか

要介護度別に並べます。1割負担・1日あたりです。

要介護度多床室・従来型個室ユニット型差(1日)
要介護1589円670円81円
要介護2659円740円81円
要介護3732円815円83円
要介護4802円886円84円
要介護5871円955円84円

いちばん差が大きい要介護5でも、1日84円。月に直して2,520円です。

思ったより小さいのではないでしょうか。ユニット型は職員配置が手厚く報酬も高いのですが、自己負担への跳ね返りは限定的です。2割負担ならこの倍、3割負担なら3倍になります。

では、差はどこから出るのですか

居住費です。ここが本題になります。

国が定めた標準額を基準費用額といいます。補足給付を受けていない方(第4段階)が支払う目安です。

居室タイプ1日月換算(30日)
多床室915円約2.7万円
従来型個室1,231円約3.7万円
ユニット型個室的多床室1,728円約5.2万円
ユニット型個室2,066円約6.2万円

多床室とユニット型個室の差は1日1,151円、月34,530円。 施設サービス費の差の14倍です。

年間で41万円。5年入所すれば200万円を超えます。

補足給付を使うと、どう変わりますか

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

住民税非課税世帯などの方は、居住費と食費に上限が設定されます。負担限度額といいます。所得と預貯金によって、第1段階から第3段階②までに分かれます。

居住費の負担限度額を、段階別に並べます。

段階多床室ユニット型個室差(月30日)
第1段階0円880円26,400円
第2段階430円880円13,500円
第3段階①430円1,370円28,200円
第3段階②530円1,470円28,200円
第4段階(一般)915円2,066円34,530円

第2段階だけ、差が1.35万円まで縮みます。 第4段階の3.45万円と比べて2.6倍の開きです。

理由は表を縦に見るとわかります。ユニット型個室の負担限度額は、第1段階と第2段階でどちらも880円。据え置かれています。ところが多床室のほうは0円から430円に上がる。ユニット型が据え置かれたまま多床室だけ上がるので、差が縮むのです。

ここから何が言えるか

「ユニット型は高いから多床室に」という判断は、所得段階を抜きにすると意味をなしません。第2段階の方にとって、ユニット型を選ぶ追加負担は月1.35万円です。 個室であることの価値と比べて、この金額をどう見るか。判断の材料が変わってきます。

食費はどうなりますか

居室タイプでは変わりません。ただし2026年8月1日に改定されました。

段階7月まで8月から月換算
第1段階300円300円(据え置き)約0.9万円
第2段階390円390円(据え置き)約1.2万円
第3段階①650円680円約2.0万円
第3段階②1,360円1,420円約4.3万円
第4段階(基準費用額)1,445円1,545円約4.6万円

上がったのは、第3段階の方だけです

第1段階・第2段階の負担限度額は据え置かれています。また、負担限度額認定証をお持ちでない第4段階の方の実際の請求額は、施設との契約で決まるため、基準費用額が上がってもただちに変わるとは限りません。

第3段階②の方は、居住費も1日100円上がりました(430円→530円)。食費60円と合わせて1日160円、月4,800円の負担増です。第3段階①の方は食費のみで月900円。

一方で、負担が軽くなる方もいます。 第2段階の所得基準が年80.9万円から82.65万円に緩和されました。これまで第3段階①だった方の一部が第2段階に移ります。

結局、月いくらになりますか

要介護3・1割負担・30日入所で計算します。日常生活費は含みません。

段階多床室ユニット型個室差
第1段階約3.1万円約6.0万円2.9万円
第2段階約4.7万円約6.3万円1.6万円
第3段階①約5.5万円約8.6万円3.1万円
第3段階②約8.0万円約11.1万円3.1万円
第4段階約9.6万円約13.3万円3.7万円

施設サービス費の差(月約2,500円)が乗るので、総額の差は居住費だけの差より少し大きくなります。

第2段階の方は、ユニット型を選んでも月1.6万円の追加で済みます。 第4段階の3.7万円と比べてください。同じ選択でも、重みがまったく違います。

では、安いほうを選べばいいのでしょうか

そう単純ではありません。3つ書きます。

1. そもそも選べないことが多い

新設の特養は原則ユニット型です。国は2002年から全室個室・ユニット化を方針として打ち出しており、多床室は既存施設に残っているだけです。地域によっては、多床室のある特養がほとんどないこともあります。

2. 待機期間が違う

多床室は安いぶん希望が集中します。ユニット型のほうが早く入れる場合があります。月数万円の差と、数か月から数年の待機を、どう天秤にかけるか。 在宅の介護者が限界に近いなら、待機期間のほうが重い問題です。

3. 生活が違う

多床室は4人部屋が主流で、カーテンで仕切るだけの施設もあります。同室の方との相性が問題になることもあります。逆に、一人だと不安を感じる方には多床室が合うこともあります。安さだけの話ではありません。

自分の段階を知るには

介護保険負担限度額認定証を、市区町村に申請します。

対象になるのは、次の両方を満たす方です。

  • 世帯全員が市町村民税非課税(世帯分離している配偶者を含む)
  • 預貯金が基準以下
段階所得の目安預貯金(単身/夫婦)
第1段階生活保護受給者など1,000万円/2,000万円
第2段階年金収入+合計所得が82.65万円以下650万円/1,650万円
第3段階①同 82.65万円超〜120万円以下550万円/1,550万円
第3段階②同 120万円超500万円/1,500万円

年金収入には非課税年金(遺族年金・障害年金)も含まれます。

申請しないと適用されません

自動的に安くなる仕組みではありません。認定証が交付されて初めて負担限度額が適用されます。手続きは市区町村の介護保険担当課です。入所が決まってからでは、適用が翌月以降になることもあります。

まとめ|迷っている方へ

整理します。

  • 施設サービス費の差は小さい(要介護5で月2,520円)
  • 差の本体は居住費。第4段階で月3.45万円、第2段階で月1.35万円
  • 2026年8月改定で上がったのは第3段階①・②のみ
  • 第2段階の所得基準が緩和され、負担が下がる方もいる
  • 負担限度額認定は申請が必要

費用を比べる前に、まず親がどの段階に当たるかを確認してください。 それによって、多床室とユニット型のどちらを希望に書くかの判断が変わります。

申し込み自体については、点数の仕組みを知っておくと動き方が変わります。特養は申込順ではありません。

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出典・参考

  • 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1506「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」(2026年5月29日発出)/添付資料「補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み(令和8年8月〜)」
  • 令和8年厚生労働省告示第88号(居住費・滞在費の負担限度額の一部改正)
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」介護老人福祉施設の利用者負担
  • 厚生労働省「新型特別養護老人ホーム(全室個室・ユニット化)」

この記事の情報は2026年8月時点のものです。月換算は30日で計算した概算で、月の日数や施設との契約内容によって実際の請求額は異なります。正確な金額は、施設または市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

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