老人ホームの費用相場を、施設タイプ別に比較する

この記事の要点
– 施設の費用は「入居時費用」と「月額費用」に分かれる
– 公的施設(特養・老健)は月10万円前後から。民間施設は15万〜30万円が中心
– 月額に介護サービスの自己負担が含まれるかどうかは、施設タイプで異なる
– 同じタイプでも都市部と地方で1.5倍近い差が出る
– パンフレットの金額と実際の請求額は、しばしば一致しない

最終更新:2026年8月6日


目次

費用は2種類に分けて考える

老人ホームの費用は、次の2つで構成されます。

入居時費用(入居一時金)
入居時にまとめて支払うお金です。0円の施設もあれば、数百万円かかる施設もあります。家賃の前払いという性格のもので、決められた期間で少しずつ償却され、途中で退去した場合は未償却分が返還されます。

月額費用
毎月支払うお金です。内訳は、居住費(家賃)、食費、管理費、介護サービスの自己負担、そしておむつ代などの日用品費。

比較のときに混乱しやすいのは、「月額15万円」と書かれていても、その中に何が含まれているかが施設によって違うことです。


施設タイプ別の費用相場

施設の種類 入居時費用 月額の目安 主な対象
特別養護老人ホーム(多床室) なし 8万〜13万円 原則 要介護3以上
特別養護老人ホーム(ユニット型個室) なし 10万〜15万円 原則 要介護3以上
介護老人保健施設(老健) なし 9万〜14万円 要介護1以上
認知症グループホーム 0〜数十万円 12万〜18万円 要支援2以上・認知症の診断
住宅型有料老人ホーム 0〜数百万円 10万〜20万円+介護費 自立〜要介護5
サービス付き高齢者向け住宅 数十万円 12万〜20万円+介護費 自立〜要介護3が中心
介護付き有料老人ホーム 0〜数千万円 15万〜30万円 自立〜要介護5

※ 一般的な相場をもとにした目安です。地域・居室・サービス内容によって大きく変動します。


公的施設と民間施設の違い

公的施設(特養・老健・介護医療院)

費用が安いのが最大の利点です。 介護保険施設として運営されており、入居時費用もかかりません。

一方で、特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が対象で、希望者が多いため待機期間が長くなる傾向があります。申し込んですぐ入れるとは限りません。

介護老人保健施設は在宅復帰を目指す施設で、入所期間は原則3〜6か月程度。長期の住まいとしては設計されていません。

民間施設(有料老人ホーム・サ高住・グループホーム)

費用は高くなりますが、選択肢が多く、比較的すぐ入れます。 設備やサービスの充実度も施設によってさまざまです。


見落としやすい3つの費用

① 介護サービスの自己負担が含まれないタイプがある

介護付き有料老人ホームは、介護サービスが月額料金に含まれます(特定施設入居者生活介護)。

一方、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、介護サービスを外部事業者と個別に契約します。利用量が増えれば、その分だけ月額が上がります。

入居時は要介護1でも、数年後に要介護4になれば、費用は当初の見積もりと大きく変わります。「今の金額」ではなく「介護度が上がったときの金額」で比較してください。

② 医療費・おむつ代・日用品費

月額費用の表示に含まれていないことがほとんどです。おむつ代だけで月5,000〜15,000円程度かかります。

③ 上乗せ介護費・人員体制加算

法定基準より手厚い人員を配置している施設では、その分が上乗せされます。パンフレットの基本料金には含まれていないことがあります。


都市部と地方の差

同じ施設タイプでも、地域によって1.5倍近い差が出ます。家賃相当分が地価を反映するためです。

親が地方に住んでいて、自分が都市部にいる場合、この差は判断材料になります。ただし、面会のしやすさは介護の質に直結します。 費用が安いからと遠方を選び、結局ほとんど行けなくなるケースもあります。

費用だけで決めない。 ここは何度でも強調したい点です。


負担を軽くする制度を先に確認する

費用を比較する前に、使える軽減制度を確認してください。 適用されるかどうかで、実際に払う額が数万円変わります。

  • 高額介護サービス費 — 介護サービスの自己負担に月ごとの上限がある
  • 補足給付(特定入居者介護サービス費) — 特養・老健などの居住費・食費が軽くなる。有料老人ホームやサ高住は対象外

補足給付が使えるかどうかは、施設タイプ選びそのものに影響します。非課税世帯であれば、特養のほうが実質負担で圧倒的に有利になるためです。

→ 詳しくは「高額介護サービス費と補足給付で、いくら戻るか」で解説しています


パンフレットの金額を鵜呑みにしない

これから施設を探す方に、いちばん伝えたいことです。

見学時に聞いた金額と、実際の請求額が一致しないことがあります。 悪意があるわけではなく、基本料金の外にある費用が積み上がるためです。

見学のときは、次の質問をしてください。

  • 「この金額以外にかかるものを、全部教えてください」
  • 「要介護度が2段階上がったら、月額はいくらになりますか」
  • 「医療的な対応が必要になったとき、退去になる条件は何ですか」
  • 「入居一時金の償却期間と、返還の計算方法を教えてください」

3つ目は特に重要です。看取りまで対応できるのか、途中で退去を求められるのか。 ここを確認せずに入居し、数年後にまた探すことになるケースは珍しくありません。


まとめ

  1. 費用は「入居時費用」と「月額」に分けて比較する
  2. 月額に介護サービス費が含まれるかを必ず確認する
  3. 今の要介護度ではなく、上がったときの金額で試算する
  4. 軽減制度が使えるかを先に確認する(施設タイプ選びが変わります)
  5. 見学時に「これ以外にかかるもの」を全部聞く

実際にいくらかかるのかは、費用シミュレーターで試算できます。要介護度と地域を入れれば、月額の目安と、年金でまかなえる範囲が出ます。


出典

  • 厚生労働省「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」
  • 各施設検索サイトが公表している料金相場データ(2026年時点)

※ 本記事は2026年8月6日時点の情報に基づく一般的な相場です。実際の費用は施設ごとに異なります。契約前に、必ず施設から重要事項説明書を受け取り、内訳をご確認ください。

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