介護ベッドの選び方|借りる前に確認する6つの順番

この記事の要点

  • 介護保険で介護ベッドを借りられるのは、原則として要介護2〜5の方です
  • 要支援1・2と要介護1は原則対象外ですが、一定の条件を満たせば例外的に借りられる場合があります
  • 介護保険が使えるのはレンタル(福祉用具貸与)だけ。購入は対象外です
  • 選ぶときは機能・付属品・置き場所の順に考えると整理しやすくなります
  • 介護ベッドではすき間への挟み込みや転落の事故が報告されています。設置後の確認が大切です

親が布団から起き上がるのに時間がかかるようになった。夜中のトイレで立ち上がるときにふらつく。介護ベッドを入れたほうがいいのだろうか。

調べてみると、介護ベッドには介護保険で借りられる条件があり、選び方を間違えると事故につながることもありました。

導入までの流れを、6つの手順で整理します。

目次

手順① 必要になるタイミングを確認する

介護ベッドを検討するきっかけは、次のような場面が多いとされています。

  • 布団やベッドから起き上がるのに時間がかかる
  • 立ち上がるときにふらつく、何かにつかまらないと立てない
  • 夜中のトイレで転びそうになる
  • 寝返りがうちにくくなった
  • 介助する家族の腰に負担がかかっている

最後の項目も大切です。介護ベッドは、本人だけでなく介助する人の負担を減らす道具でもあります。高さを調節できれば、介助するときに腰をかがめずに済みます。

親が歩けなくなったときの動き方は、親が歩けなくなったらにまとめています。

手順② 介護保険で借りられるか確認する

介護ベッドは、介護保険の福祉用具貸与の対象となる「特殊寝台」に該当する場合、レンタルできます。原則として要介護2〜5の方が対象ですが、製品の要件や本人の状態などによって確認が必要です。

要介護度介護保険でのレンタル
要介護2〜5原則として対象
要支援1・2、要介護1原則として対象外(例外給付で認められる場合あり)

購入は介護保険の対象外です

介護保険が使えるのはレンタル(福祉用具貸与)だけです。介護ベッドを自分で購入した場合は、全額自己負担になります。

入浴用いすなどの「特定福祉用具販売」とは、扱いが違います。レンタルと購入の違いは、福祉用具のレンタルと購入にまとめました。

要支援・要介護1の場合は例外給付を確認

要支援1・2、要介護1の方は、原則として特殊寝台の貸与対象外です。ただし、厚生労働省が定める状態に該当する場合など、一定の条件を満たせば例外的に貸与が認められることがあります。 これを「例外給付」と呼ぶことがあります。

判断には、要介護認定の基本調査の結果、医師の医学的な所見、サービス担当者会議などでの検討、市区町村による確認など、制度上のいくつかの手続きが関わります。医師やケアマネジャーの判断だけで決まるものではありません。

必要な確認方法や手続きは、本人の状態や市区町村の運用によって異なるため、担当のケアマネジャーに相談してください。

「起き上がりがつらそうで、介護ベッドを使いたいのですが、要介護1でも例外給付を検討していただけますか?」

ケアマネジャーに、この形で相談してみてください。

費用の目安

介護保険を利用した場合の自己負担額は、貸与価格と本人の負担割合(1〜3割)によって変わります。 1割負担であっても、機種や付属品によって料金は異なります。導入前に、福祉用具貸与事業者から本体と付属品を含めた見積もりを取ってください。

福祉用具のレンタル料は事業者ごとに違います。福祉用具貸与では、商品ごとの全国平均貸与価格や貸与価格の上限が公表されていて、貸与事業者には、利用者に対して全国平均貸与価格などを説明する仕組みがあります。契約前に、実際の貸与価格と自己負担額を確認してください。

例外給付に当たらない場合は、福祉用具事業者の自費レンタルを使う方法もあります。自費レンタルは介護保険の対象外で、料金は全額自己負担です。料金は事業者によって異なります。

手順③ 機能を選ぶ

介護ベッドの主な機能は、次の3つです。

機能役立つ場面
背上げ起き上がり、食事、テレビを見るときの姿勢
脚上げ脚の位置や姿勢を調整する。背上げと組み合わせて姿勢を調整できる場合がある
高さ調節立ち上がり、車いすへの移乗、介助するときの腰の負担

脚上げを使っても、体のずり落ちを必ず防げるわけではありません。 むくみがある場合は、原因や状態に応じて医師などに相談してください。

これらの機能を動かすモーターの数によって、「1モーター」「2モーター」「3モーター」と呼ばれることがあります。どの機能が組み合わされているかは、製品によって違います。

どの機能が必要かは、本人の状態によって変わります。 立ち上がりに不安があるなら高さ調節、起き上がりがつらいなら背上げ、というように考えます。

レンタルなら状態に合わせて変えられる

介護保険のレンタルでは、本人の状態が変わったときに、機種や付属品を見直すことができます。

最初から多機能なものを選ぶより、いまの状態に合うものから始めて、必要に応じて見直すという考え方もあります。

手順④ 付属品を選ぶ

介護ベッドは、本体だけでは使えません。付属品の選び方が、使いやすさと安全性を左右します。

付属品役割
マットレス寝心地、体圧の分散。床ずれが心配な場合は専用のものを検討
サイドレールベッドの側面の柵。寝具のずれや転落のリスクに配慮して使う
介助バー(ベッド用グリップ)起き上がりや立ち上がりのときにつかまる
サイドテーブル食事や物を置くための台

床ずれ防止用のマットレスなどは、介護ベッドとは別の品目として扱われるものもあります。どれが介護保険の対象になるかは、福祉用具専門相談員に確認してください。

付属品は、本人の状態に応じて選ぶものです。 サイドレールは、使用方法や本人の身体状況によっては、すき間に頭や首、手足などが挟まる事故が起きるおそれがあります。 設置位置や適合する付属品を、福祉用具専門相談員と確認してください。

見積もりは、本体だけでなくマットレスやサイドレールなどの付属品を含めた金額で確認すると安心です。

手順⑤ 置き場所を決める

介護ベッドは、一般的なベッドより大きく、重さもあります。搬入してから「置けない」とならないよう、先に確認してください。

  • 部屋の広さ(ベッドの横に介助する人が立てる余裕があるか)
  • トイレまでの動線(夜中に歩く距離が短いか、つかまる場所があるか)
  • 車いすやポータブルトイレを置くスペース
  • コンセントの位置(電動の場合)
  • 搬入経路(廊下や階段、ドアの幅)
  • エアコンの風が直接当たらないか

福祉用具専門相談員が、事前に自宅を見て提案してくれることが多いので、置き場所の候補を伝えて相談してください。

手順⑥ 事故を防ぐ使い方を確認する

ここは、必ず確認してほしい部分です。

製品評価技術基盤機構(NITE)は、介護ベッドに関連して死亡や重傷を含む事故が発生していると注意を呼びかけています。

NITEの注意喚起資料では、2007年1月1日から2020年12月30日までにNITEに報告された介護ベッド関連の事故(死亡・重傷以外も含む累計)として、挟み込みの事故109件、転倒・転落の事故19件が示されています。報告されたものの件数で、すべての事故を集計したものではありません。

事故の例内容
挟み込みサイドレールとサイドレール、サイドレールとベッドなどのすき間に、首や手足が入り込む
転倒・転落移乗のときにつかんだ介助バーが動いて転倒する
操作中の挟まれ背上げや高さ調節のときに、体の一部を挟む

介護ベッドの事故は、危険箇所の確認や適切な使用、定期的な点検などによってリスクを低減できます。 ただし、対策を講じても事故の危険が完全になくなるわけではありません。 本人の身体状況に応じた安全確認を続けてください。

確認したいこと

  • ベッドの周りに、首や手足が入るすき間がないか
  • すき間や挟み込みの危険が見つかった場合は、自己判断でクッションなどを詰めず、使用をいったん止めるなど安全を確保したうえで、福祉用具専門相談員やメーカーに相談する(必要に応じて、製品に適合する専用のすき間対策用品を使う)
  • サイドレールが変形して、すき間が広がっていないか(定期的に点検)
  • ベッドを動かすときは、手足の位置を確認してから操作する
  • 手元スイッチを安全な場所に置く
  • 電源コードやプラグが傷んでいないか

古いベッドや譲り受けたベッドは要注意です

2009年に介護ベッドのJIS規格が改定され、サイドレール周りのすき間の寸法など、安全に関わる項目が厳しく定められました。

知人から譲り受けたベッドや古いベッドを使う場合は、製品の型式や製造時期、使用している付属品の適合性を確認してください。

JISマークは、該当するJIS規格への適合を示すものです。ただし、マークの有無だけで事故の危険性を判断することはできません。 メーカーや福祉用具専門相談員の案内に従ってください。

NITEは、使い始めに起きる事故が多いとも指摘しています。設置時には、福祉用具専門相談員と一緒に、ベッドの動作、付属品の適合性、挟み込みにつながるすき間などを確認してください。本人の状態や設置環境が変わったとき、付属品を交換したときも、改めて安全性を確認してください。

認知症や体の動きの低下がある場合は、本人がベッドを操作したり、柵の間に手足を入れたりすることもあります。 気になる点は、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談してください。

まとめ|借りる前に順番を確認する

  1. 必要になるタイミングを確認する

    起き上がり、立ち上がり、夜中のトイレ。介助する人の負担も考える。

  2. 介護保険で借りられるか確認する

    原則、要介護2〜5。要支援・要介護1は例外的に認められる場合も。購入は対象外。

  3. 機能を選ぶ

    背上げ・脚上げ・高さ調節。本人の状態に合わせて。

  4. 付属品を選ぶ

    マットレス、サイドレール、介助バー。付属品を含めた見積もりを。

  5. 置き場所を決める

    介助スペースとトイレまでの動線。

  6. 事故を防ぐ使い方を確認する

    すき間は自己判断で詰めずに相談。手足の位置を確認してから操作する。

介護ベッドは、本人の自立を支え、介助する人の負担を減らす道具です。

まずは担当のケアマネジャーに、「介護ベッドを使いたいが、借りられるか」を相談してください。ケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターで相談できます。要介護1以下の場合も、例外的に貸与が認められる可能性があります。

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出典・参考

  • 介護保険法施行令 第4条(福祉用具貸与の品目「特殊寝台」)
  • 厚生労働省「軽度者に対する福祉用具貸与の取扱い」(要支援1・2、要介護1の方への特殊寝台等の貸与の例外)/厚生労働省「福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限」
  • 朝日生命「公的介護保険でレンタルベッドを導入」(例外給付の判断要素:基本調査の結果、医師の所見、ケアマネジメント)
  • 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「介護ベッドの事故に注意しましょう!」(2007年1月1日〜2020年12月30日にNITEに報告された累計で挟み込み109件、転倒・転落19件。死亡・重傷以外も含む)https://www.nite.go.jp/data/000129487.pdf
  • 経済産業省「介護ベッドの事故に注意しましょう」リーフレット(2009年のJIS改定でサイドレール周りのすき間の寸法など安全項目が厳しく規定)https://www.meti.go.jp/product_safety/202111_kaigobedleaflet.pdf
  • NITE「介護現場における介護ベッド等による事故の防止について(注意喚起)」(使い始めに発生する事故が多いこと)
  • 消費者庁「介護ベッド用手すりのすき間に頭や首、手足などを挟む事故等に注意!」(手元スイッチは安全な場所に置き、手足の位置を確認してから動かす)https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_038/

この記事の情報は2026年10月時点のものです。介護保険での貸与の可否、例外給付の手続き、レンタル料金は、要介護度、本人の状態、市区町村、事業者によって異なります。実際の導入にあたっては、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員にご相談ください。

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